DX戦略

【Society5.0】注目サービス Vol.3 第一次産業(農業・林業・漁業)

高度なテクノロジーで仮想空間と現実空間をつなぎ、さまざまな社会的課題解決を図る「Society5.0」の取り組みを業界別にご紹介する連載シリーズ。第3回目は農業をはじめとする第一次産業における注目サービスをご紹介します。
農業・林業・漁業を主体に、自然から資源を得ることを目的とした第一次産業。生きるために不可欠な「衣食住」の根幹を支える産業として重要視される一方、戦後日本においては自給率が下がり続けており、現在、第一次産業に携わる人の割合はわずか4%程度(2015年国勢調査より)と言われています。
後継者問題、人手不足といった課題解決を図るとともに、国をあげた六次産業化*の推進を両立するためにも「Society5.0」の取り組みは欠かせません。今回は、そんな第一次産業の課題解決を図るサービス・テクノロジーに注目してみました。
なお、日本標準産業分類に基づき、食品加工業(製造業)や物流(運輸業)などに関わるサービスについては別の機会にご紹介いたします。

*一次・二次・三次それぞれの産業を融合することにより、新しい産業を形成しようとする取り組みのこと。

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Society5.0の実現により、第一次産業はどう変わるのか

食料自給率や人手不足に注目されがちな第一次産業ですが、実は技術革新によって大きな利益とともに国際競争力も得られると考えられています。

例えば2013年に閣議決定された「日本再興戦略‐JAPAN is BACK-」では、2020年度に六次産業化の市場規模を10兆円とすることが成果目標として設定されており、補助金等の後押しもあることから年々順調な推移を見せています。そもそも六次産業化とは、第一次産業という川上から第三次産業以降の川下までを一気通貫に手掛けることで一体化・効率化を図るとともに、資源を活用した新たな付加価値を生み出そうというものです。
また、2023年には米の生産コストを4割削減(2011年比・農林水産省)や、2030年に農林水産物の食品輸出額5兆円への拡大(農林水産省)といった政策目標に向けて、第一次産業におけるサイバー空間の利活用には大きな期待が寄せられています。
Society5.0の実現により、第一次産業では下記のような課題解決が図れると期待されています。

・人手不足の解消
・センサー活用などによる鳥獣害/自然災害対策
・労働環境の改善
・ビッグデータ活用による育種/品種育成
・生物機能の活用やヘルスケアへの転用など、新産業の創出
・収量/品質の向上
・資源評価の精度向上
・生産データの迅速な蓄積/送信
・生産と加工/流通のスムーズな連携


さっそく、これらの課題解決を図るサービスやプロジェクトについて、それぞれの課題および手段別にご紹介します。

人手不足解消・省力化

ISEKIアグリサポート
(井関農機株式会社)

スマートフォンやタブレットと農機が連携し、機械情報を見える化。肥料薬剤散布や圃場の作業管理、機械情報などをまとめてクラウド上で管理・分析します。このことで整備点検、作業管理記録などを省力化し、重大なトラブルを防ぐことと農作業の効率化を両立しています。

自動野菜収穫ロボット
(inaho株式会社)

AIとロボティクスを組み合わせ、ロボットが野菜などを自動収穫するプラットフォームを展開。従来は人が確認しなければいけなかった収穫適期を画像認識で判断。ビニールハウスに白い線を設置することで自動走行できるので、収穫に対する労力を最小限に抑えられます。また、夜間収穫が可能なため、労働時間の効率化にもつながります。

アグリノート
(ウォーターセル株式会社)

航空写真マップを活用した営農活動の可視化、作物の生育推移や外部環境情報などを集計し、栽培プロセスの最適化を図る情報プラットフォームシステム。食品安全や環境保全、労働安全の基準を守っていることを示す「JGAP/ASIA GAP認証」の取得にも役立ちます。また、圃場ごとの作業記録の自動集計、収穫量や出荷実績などを一元管理し、作付けごとの収支分析や計画立案もサポートします。

ICT水田水管理システム「水田ファーモ」
(株式会社farmo)

水田の推移をスマートフォンから確認し、水口の開閉を遠隔操作できるシステム。センサー設置箇所の地図表示や、各センサーの状況・水位グラフを現地にいなくても確認でき、水量管理の省力化に役立ちます。太陽光発電で稼働するため電源不要かつ、シンプルな機構によって、低コスト化やわかりやすい操作性を実現しています。


ロボット搾乳システムを導入したメガロボットファーム
(株式会社 Kalm 角山) 

多数の搾乳ロボットの導入により、大規模酪農経営での省力化と、効率的な飼養管理等を実現。8台のVMS(Video Management System)によって適切な搾乳管理を行うとともに、ミルク分析システムによって安定した品質をキープ。牛の状態はボディコンディションスコアリングカメラによって適切に管理されています。

U-motion®
(デザミス株式会社/NTTテクノクロス株式会社)

牛に取り付けたタグに内蔵されたセンサーが、リアルタイムデータを収集。そのデータを分析することで起立・横臥・反芻などの行動を人工知能が分析し、異常があればアラートを出す仕組みです。取得した行動データはPCやスマートフォンから確認可能で、発情や転倒事故をいち早く知ることに役立ちます。

ドローン

アグリフライヤー
(株式会社石川エナジーリサーチ/ソフトバンク・テクノロジー株式会社)

農薬空中散布が可能な農業用マルチコプター。流量センサーが付いており、飛行速度と連動した流量制御を行うことで均一に農薬を散布できます。また、バッテリーと農薬の交換を簡易化し、スムーズに作業できる点も特長です。

果樹受粉に使用できるドローン
(東光鉄工株式会社)

秋田県に製造拠点を持つ、産業用ドローンの国内メーカー。青森県や秋田県の農業高校と果樹受粉に関する共同研究を進めており、さくらんぼやりんごの受粉に活用できることが実証されています。

ドローン連携散布管理IoTシステム
(ヤマハ発動機株式会社)

前述のアグリノート(ウォーターセル社)と連携したシステム。圃場センシングを数日~数週間の間隔で行った結果に応じ、産業用ドローンを活用して薬剤散布・追肥などを実施する一気通貫した管理が可能。これにより、散布計画の立案や散布作業、作業管理の簡易化・効率化を図っています。

水中ドローンを用いたスマート定置網漁
(JOHNAN株式会社)

水中ドローンに搭載されたAIにより魚影を画像認識し、目的の魚種の位置を把握。一度引き上げると死亡する可能性が高い小型クロマグロなど、捕獲したくない魚種がいるかどうかを網の設置前に把握できます。また、定置網にかかっている魚種も引き上げ前に判別できるため、魚問屋などにいち早く情報提供できます。

アシストスーツ

マッスルスーツエブリィ
(株式会社イノフィス)

空気の力を利用した人工筋肉により、働く現場での腰への負荷軽減から、日常のちょっとした力仕事のサポートまで実現するマッスルスーツ。1日中屋外使用することができ、中腰で作業しなければいけない定植や出荷作業時の負担を減らします。

ARM-1Dラクベスト
(株式会社クボタ)

上腕を上げたまま作業しなければいけない、果樹の棚下作業に着目して開発されたアシストスーツ。リュックサックのように装着することで肘を支え、腕や肩の負担を軽減します。着用したまま肘の角度固定と解除ができます。

品質・収量の向上

スマート農業のための各種サービス
(ベジタリア株式会社)

次世代の緑の革命の実現に向けて既存の異なる分野を融合させ、これまでにない産業を創出し、未来において持続可能な健康のサプライチェーン創造企業を目指すベジタリア社。屋外計測モニタリングシステム『FieldServer』や、水田管理システム『PaddyWatch』、農業管理ツール『agri-note』を提供。

Plantect®
(バイエル クロップサイエンス株式会社)

ハウス内の温度・湿度・二酸化炭素・日射量をリアルタイムでモニタリングし、データを蓄積。それらのデータからAIが病害の感染リスクを予測。アラート通知することで、タイミングを逃さずに農薬散布ができます。

経営最適化

豊作計画/リアルタイム土壌センシング
(トヨタ自動車株式会社)

トヨタ生産方式の考え方を農業に応用し、生産工程を管理するITツール「豊作計画」。広範囲に分断して存在する水田の集約管理を実現し、農業の生産性向上を図ります。また、生産管理に用いられる「リアルタイム土壌センシング」では、リアルタイムで計測した分光データと位置情報により土壌成分の偏りを推定。農作物に最適な土づくりをサポートします。

Agri Field Manager
(株式会社オプティム)

圃場や農作物の映像のAI解析や、マルチスペクトルカメラを用いて算出したNDVI(植⽣指標データ)とさまざまな農業用センサーデータとの連携によって、効果的な生育管理を実現するシステムです。また世界で初めて、ドローン撮影画像にディープラーニングを活用することによる病害虫検出を実現しました。

熟練農業者の技能継承サービス
(キーウェアソリューションズ株式会社)

熟練農家が持つ栽培技能を可視化し、産地内に普及展開するためのシステム。匠の技として、従来は暗黙知となってしまっていた「無意識に行っている」作業や判断基準を、視点解析や環境センサーなどのデータから分析することで、VR教材などの学習コンテンツに活用できます。

六次産業化

食農プラットフォーム「Tsunagu」
(株式会社Tsunagu)

生産者(地域JA)が買い手企業に農産物を直接売買できるマッチングシステム。事前予約による直売が可能なため、農作物の保存期間が大幅にカットできるのが生産者のメリット。中間コストの削減により鮮度の良い農産物を直売価格で購入できることや、事前予約することによって安定調達できることが買い手のメリットです。

食べチョク
(株式会社ビビッドガーデン) 

農林漁業生産者と消費者が直接コミュニケーションを取れる、オンライン直売システム。両者をつないだ流通課題の解決だけでなく、栽培情報のデータベース化による買い手の細かいニーズとのマッチングなど新たな価値提供に取り組んでいることがポイントです。食材にこだわりたい飲食店向けの「食べチョクPro」もリリースし、少量生産の珍しい食材が見つかる、鮮度抜群の朝どれ野菜を生産者から直送できるなど、きめ細かなニーズに対応しています。

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