富士通、新型コロナウイルスの診断を支援するAI技術の共同研究開発を開始
2020/9/3
富士通株式会社と東京品川病院は、新型コロナウイルス肺炎の診断に有効とされる胸部CT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)検査による画像診断の支援を行うAI技術の共同研究開発を、2020年9月2日より実施すると発表した。
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また、問診では新型コロナウイルス感染の可能性が低いと判断された場合でも、胸部CT画像所見から、新型コロナウイルス肺炎を見つけ出し、早期発見につながることが期待できるという。
■背景
肺疾患の診断では、医師が患者の胸部CT画像に映った病変部の陰影の特徴に基づき診断しているが、異常な陰影の判別だけでなく、肺全体にわたる陰影の立体的な分布状況を把握するため、患者一人あたり数百枚にもおよぶ胸部CT画像を目視で確認している。特に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、医師の負担を軽減し、スピーディーな診断を支援する技術が求められている。また、問診で新型コロナウイルス感染の可能性が低く、PCR検査が実施されない場合、その患者の胸部CT画像から新型コロナウイルス肺炎を見つけ出すことも重要だ。
これらの診断支援の必要性から、富士通と東京品川病院は共同で、新型コロナウイルス肺炎の診断に有効な手法とされる胸部CT検査に対して、AIを活用した医師の画像診断支援技術の開発を開始するとのことだ。
■共同開発するAI画像診断支援技術について
・医師が新型コロナウイルス肺炎を診断する際、肺に見られる異常陰影のパターンと肺全体の異常陰影の広がり方が診断のための重要な情報となっている。異常陰影のパターンの検出は株式会社富士通研究所が開発したAIを活用して行い、CT画像上で肺を右肺末梢、右肺中枢、左肺中枢、左肺末梢の4つの領域に分割し、各領域の上下方向の陰影分布をヒストグラム化する。これにより、三次元的な陰影の広がりを数値化し、検出された異常陰影パターンと陰影分布を用いて新型コロナウイルス肺炎を判別するAIを新たに開発する。
・AIによって新型コロナウイルス肺炎の可能性を示すことで、医師が胸部CT画像から肺炎の診断をする際、陰影の立体的な広がりを数百枚の胸部CT画像から目視で確認していた診断時間を短縮し、専門医のみならず、新型コロナウイルス肺炎の診断を効率良く行うことを目指す。