慶應イノベーション・イニシアティブ、再生医療ベンチャー「セルージョン」に追加出資

慶應イノベーション・イニシアティブ(以下、KII)は、同社が運営するファンドより、慶應義塾大学等の研究成果を活用したベンチャー企業である株式会社セルージョンに対して2020年のシリーズAに続き第三者割当増資の引き受けによる追加出資をしたと発表した。他の出資者からの調達も含め今回の第三者割当増資によるセルージョンの調達額は総額11億円となる。

■iPS細胞由来角膜内皮代替細胞CLS001の臨床試験を推進

角膜移植以外では失明を防げない水疱性角膜症のような眼科疾患は全世界では1300万人以上の待機患者が存在するにもかかわらず、年間実施される角膜移植はわずか約18万件だという。このような大きな治療需給ギャップは、角膜移植にはドナーからの角膜提供が必要であることに加え、熟練した角膜移植医の確保やアイバンクの整備が必要であり、これらが治療提供の大きな制約となっていることが原因とのことだ。

セルージョンは「増殖性に優れるiPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す技術」と「簡便な手技で属人的技術を不要とする細胞移植法」を組み合わせ、角膜移植適用症例の半数以上を占める水疱性角膜症に対する再生医療等製品CLS001による治療の開発を進めている。CLS001は慶應義塾特定認定再生医療等委員会および厚生労働省の厚生科学審議会から2021年7月にヒトでの安全性を評価する医師主導臨床研究の実施承認を得ており、準備が整い次第、慶應義塾大学病院にて同研究が開始される予定だという。

今回調達した資金を用いてCLS001の国内および海外の臨床試験準備、研究・組織体制の強化、後続パイプラインの研究開発を進める。また、大手医薬品卸業者の東邦ホールディングス株式会社や大手包装材メーカーの東洋製罐グループホールディングス株式会社との事業連携を進め、CLS001の社会実装へ向けたサプライチェーンを整備し、水疱性角膜症に対する新たな治療法提供へ向けた取り組みを加速するとのことだ。

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