物流業界には、人口減少に伴う労働力不足の深刻化や、トラックドライバーの時間外労働が960時間に規制されることによる「2024年問題」など、さまざまな課題が存在している。これらの課題に対応し、加工食品・日用雑貨などのサプライチェーンを最適化するためには、小売業の在庫管理と発注業務を改善する必要があり、特に、需要予測技術の活用が重要だという。通常の商品については需要予測ツールが広く利用されているが、新商品や販促商品においては販売予測が難しく、それが過剰在庫や不足分の追加発注といった問題を引き起こしているとのことだ。
北海道内でスーパーマーケットを108店舗(2024年1月12日時点)運営しているコープさっぽろの店舗およびHLSの運営する物流センターで、新商品と販促商品の小売りから仕入先への発注確定日を前倒しする、納品リードタイム(以下、納品LT)長期化の実証実験を行う。従来3~7日程度であった納品LTを2週間程度まで長期化させる。小売店舗では、納品LTを延長した場合、欠品や過剰在庫の発生が懸念事項だが、本実証実験ではsinops-CLOUDによる需要予測データを活用し、欠品・過剰在庫の発生を極小化しつつ、納品LTを延長する実証実験を行う。納品LTを長期化することで、卸売業の特売期間中の追加発注の対応に向けた在庫調整業務の負荷軽減、物流センターの過剰在庫や欠品の防止、物流の効率化が期待できるという。その他、曜日ごとにバラつきがある発注量を平準化することでトラック配車の効率化に関する実証実験も実施予定だ。