イノベーション

ついついハマる “ハイパーカジュアルゲーム“の正体 動画広告の新たなプラットフォーマー「ROKU」って? ~デジタルシフト未来マガジン〜

「デジタルシフト未来マガジン」では、オプトグループで新たな事業を創造しデジタルシフトによる変革を推進している石原靖士氏が捉えた国内外のデジタルシフトの最新事例を紹介する。
石原 靖士 -Yasushi Ishihara-
㈱オプトホールディング グループ執行役員
㈱オプト 執行役員

SaaS系の新規事業を立ち上げ・グロース後、事業売却。2015年にオプト執行役員に就任し、エンジニアとクリエイティブの組織を拡大。2019年4月、オプトグループ執行役員に就任し、レガシー業界のデジタルシフトを狙った、顧客との共同事業開発を推進中。
今回は、スマートフォン向けのアプリゲーム「ハイパーカジュアルゲーム」を紹介します。これはハイパーカジュアルというジャンルのゲームのことを指していて、2018年にはアプリストアで最もダウンロードされたゲームジャンルとなっています。

ハイパーカジュアルゲームはシンプルかつ直感的で、思わず「ハマってしまう」ことが特徴です。ユーザーにはゲームの節目で広告が流れます。インストールさせる為に使った広告費を、広告からの収入が少しだけ上回るように設計されていて、ここで収益を上げているのです。ゲームは言葉の壁を超えられるため、世界中のユーザーをターゲットにしており、1人あたりの利益が1円だったとしても、億単位の利益が見込めます。ここに目をつけ、ゴールドマン・サックスも200億円を投資するなど、「ハイパーカジュアルゲーム」自体が金融商品化した新たなジャンルとして確立され始めているのです。

ハイパーカジュアルゲームとは?

ハイパーカジュアルゲームは、その中でも、アーケードやスポーツ、リズムなど様々な種類に分かれます。共通しているのは、操作性やルールがシンプルであることです。例えば、ボールを打ち返す野球ゲームや、上から落ちてくる水をコップに溜めるアーケードゲームのように。しかし、ちょっとしたコツを掴むと上手くできるようになるため、どんどんレベルが難しくなっても続けてしまう、つまり「ハマってしまう」のです。

例えとして、あるゲームの画面イメージを掲載します。
飛んで来たボールを、ただ打ち返すだけの単純ゲームですが、打ち終わる度に動画広告が流れ、完全視聴すると点数がコンボアップします。

もし待ち合わせで暇だったら、3分くらいはやっちゃいそうですよね??

これが儲けのからくりで、ユーザーがゲームを理解して飽きてしまう3分後には、インストールさせる為に使った広告費を、動画広告からの収入が少しだけ上回ってるんです。

アプリによって広告のタイミングは様々ですが、アプリの起動時やゲームのプレイ後に出すことが多いです。また、「広告を見るとゲームを有利に進めるポイントがもらえる」などのメリットを与えることで、ユーザーが能動的に広告を見るような設計も多く見られます。

サービスの作り方も特徴的です。先ずは、とにかく早くゲームを作りリリースします。そうすることで、実際にユーザーに使ってもらえるかを試すのです。そして、ユーザーから得られる収益が、ユーザーを獲得するために使うコストを超えるかどうかをモニタリングします。超える場合は、プロモーションを強化することでユーザーを増やし、超えない場合は次々と新しいゲームの開発に移り、収益が確保できるゲームを見つけるのです。

「ハマる」理由は、市場調査にあり

シンプルとはいえ、ゲーム自体の企画力はやはり重要です。綿密な市場調査を行い、既存のゲームで似たようなものがないジャンルを探します。

また、ハイパーカジュアルゲームは広告収入を伸ばすためにも「ハマってしまう」体験が重要です。難易度と達成感のバランスなど、ユーザーがどのような成功体験をすれば、継続して使用するかという設計が企画の肝になるのです。ゲーム自体がシンプルな分、ハマる仕組みを作ることが、成功の鍵を握っています。

予測可能なビジネスモデルにゴールドマン・サックスも注目

ハイパーカジュアルゲームが成立するためには、ユーザーから得られる収益がユーザーを獲得するためのコストを上回っていることが絶対条件です。裏を返せば、収益見込みがコストを上回れば、積極的にプロモーションを仕掛けユーザーを増やすことで売上を増加させることができるのです。仮に、1ユーザーあたりの収益がコストを超え続ける範囲に限定するとすれば、プロモーションをかけユーザーを獲得すればするほど売上が伸びる計算になるのです。

収益予測やコストの計算はテクノロジーを活用することで、ある程度は厳密に行えます。そのため、収益がコストを超えるかどうかも、予測が可能です。このようなビジネスモデルのため、ゴールドマン・サックスが200億円を投資するなど、いまや「ハイパーカジュアルゲーム」自体が金融商品化した新たなジャンルとして確立され始めているのです。

読者のみなさんも、気づかぬうちに、ハイパーカジュアルゲーム市場の拡大に寄与しているのではないでしょうか?