住友生命が「保険を売らない」フラッグシップ店を銀座の超一等地に出店した理由。住友生命社長 高田幸徳氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談
2021/10/1
デジタルシフトが加速するなか、大きな変革を求められている保険業界。そんななか「リスク」に備えるだけではなく、リスクを「減らす」健康増進型保険“住友生命「Vitality」”を提供するなど、デジタルの力でいち早く事業変革を実践しているのが住友生命保険相互会社です。今回はそんな同社が8月24日に銀座にオープンさせたばかりの「住友生命『Vitality』プラザ 銀座Flagship店」を舞台に実施された、同社の社長高田幸徳氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授の対談の模様をレポート。前編では、高田社長自ら銀座Flagship店をご案内いただきながら、銀座の一等地に「保険を売らない」保険ショップをオープンさせた狙いや、Vitalityによって住友生命が実現したいビジョンについてお話を伺いました。
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Vitalityのフラッグシップとして、銀座の中心から情報発信を
高田:はい、健康増進型保険「Vitality」の銀座Flagship店ということで、日本で一番ロケーションのいい銀座4丁目の交差点、和光を目の前にこれから情報発信をしていきたいと思っており、まずはぜひ田中先生にご体感いただきたいと思っております。
田中:まずお邪魔してびっくりしたのが、このロケーションです。日本のど真ん中であり、一番地価が高い場所ですよね。和光や銀座三越が目の前にあり、ビルの一階は日産のショールームです。
高田:そうですね。Vitalityの発売から3年が経ちましたが、これからはキャズムをいかに乗り越えるかが課題になります。そこでより多くの皆さまにVitalityを知っていただくために、ここ銀座4丁目交差点からVitality、さらにはデジタルを活用した日本全体の健康増進について、情報発信をしていきたいと思っております。
田中:それにしても、かなり思い切った投資だったのではないかと想像します。まずは改めて、正式な店名を教えていただけますか?
高田:「住友生命『Vitality』プラザ 銀座Flagship店」と申します。ただ単に銀座店ということではなく、Vitalityの情報発信を行っていくフラッグシップ店にしていこうという想いを込めて名付けた店名です。
田中:なるほど。それでは早速、店内をご案内いただけますか?
高田:はい。まず入店して正面に見えるのがメッセージボードです。このディスプレイを使って、Vitalityについてのさまざまな情報をご案内しています。正時(毎時00分00秒)には和光の時計台の鐘の音に合わせて、時刻が表示されるようにもなっていますので、銀座を感じていただくツールでもあるのかなと思っております。
田中:ディスプレイに「TOUCH!」と表示されていますね。
高田:ぜひ触ってみてください。まず「特設サイト」をご覧いただければ、Vitalityとはどういうものなのかをご理解いただけるはずです。それから「銀座シミュレーション」では、もう少し感覚的にVitalityを知っていただくためのコンテンツを用意しております。例えば先生は、一日にどれくらい野菜を摂っていらっしゃいますか?
田中:最近、あまり摂れていないですね。
高田:こういった質問をさせていただき、それに対して「一日の摂取量の目安は350gですよ」といったアドバイスをさせていただくコンテンツです。他には、一駅分歩くとこれくらいの減量ができますよ、といった情報をお伝えするなど、健康を意識した生活とはどのようなものなのかをシミュレーションしていただこうという狙いです。
田中:高田社長、まず私が驚いたのは、今のところ保険に関するお話が全く出てきていないことです。ここは保険を販売する店舗ではないのですか?
高田:そうですね。保険については私どもの保険ショップ、銀行などでご加入いただけますので、銀座Flagship店はVitalityの理念や、そもそも健康とは何かということを、皆さんに体感していだだく場所にしたいと考えています。いわば、「保険を売らない保険ショップ」です。
事実上の「デジタル通貨」、Vitalityコインも実装済み
高田:Vitalityでは、いろいろな「楽しさ」をリワード(特典)という形でお届けしていますので、それを体験していただくことが中心になっています。例えばその一つが、ここに並んでいるウェアラブルデバイスです。普通の街の時計屋では、こういったウェアラブルデバイスはなかなか置いていないんですよね。Apple Watchもありますし、もう少し簡易なエントリーモデルも揃えています。これらを実際に装着し、体感していだくためのスペースとなっております。
田中:これらのウェアラブルデバイスは、すべてVitalityと連動して、健康に関するデータを集めているのですよね。
高田:おっしゃる通りです。ちなみにVitalityにご加入いただきますと、Apple Watchに加えて、Garmin、Polarなどのウェアラブルデバイスを、非常に割安でお求めいただけるようになっています。
田中:そうなんですね。ちなみにこちらに「Apple Watchを購入して運動すると、24か月間で最大24,000円分のVitalityコインを獲得できます」と書いてありますが、このVitalityコインとは何でしょうか?
高田:Vitalityコインは、「1コイン=1円分」として所定の電子マネーギフトなどに交換できる、当社独自のポイント※1のことです。VitalityコインはVitalityでさまざまな健康増進活動に取り組むことで得ることができます。
※1 Vitalityコインとは所定の電子マネー・ギフト等に交換できる、住友生命が独自に発行・管理する仕組みです。
田中:事実上のデジタル通貨を既に始められているわけですね。
高田:はい。さまざまなキャッシュバックも、すべてVitalityコインで対応しています。
ポケモンGOとも提携。「リワード」という仕掛けで運動を楽しく習慣化
田中:こんなにもたくさんのリワードが用意されているのですね。
高田:健康への取り組みというのは、楽しくないとなかなか継続できませんからね。
田中:こちらはHotels.comですね。
高田:はい。オンライン宿泊予約が、最大40%オフとなるリワードです。
田中:割引が40%も。こちらマーソのリワードはどのような内容ですか?
高田:マーソは、人間ドックや各種検診の予約ポータルサイトを運営されている企業です。Vitalityに加入すると、大変お得な価格で予約できるようになっています。
田中:皆さんよくご存じのオイシックスやイオン、それからスポーツジムを運営するティップネスや、ルネサンスといった企業とも提携されているのですね。
高田:他にもローソンやスターバックス、それから最近ではポケモンGOとの提携もスタートしました。
田中:ポケモンGOとの提携というのは、どのようなものですか?
高田:楽しんで歩く習慣をつけるという意味では、ポケモンGOは非常に優れたサービスですが、Vitalityとあわせてご利用いただくことで、さらに目標を持って歩くことができると考えています。そこでVitalityご加入者様が手に入れられるリワードを、ポケモンGOゲーム内でご用意しています。
田中:Vitalityの特典が、ゲーム内でも得られるわけですね。
高田:そうですね。ポケモンGOをはじめ、楽しく運動するための取り組みを進めている事業者と提携することで、運動の習慣化を後押ししていければと考えています。
田中:素晴らしいですね。外出時はデバイスで健康管理をして、それによって得たリワードで息抜きができる。リワード※2が運動習慣をつけるお手伝いになっているのですね。確かに、こういう特典があれば運動が楽しく、習慣化できそうです。
※2 特典(リワード)内容などの詳細は住友生命HPからVitalityスペシャルサイトをご確認ください。
高田:運動習慣のある方は、人口の2割から3割と言われています。残りの方が運動するきっかけを作ったり、それを継続していただくためには何らかの仕掛けが必要になるはずです。Vitalityのリワードもそうした仕掛けの一つになればと思っています。
田中:すでにVitalityを利用されている方も大勢いるわけですが、実際にVitalityを使うことで運動習慣がついた、それによって健康状態が改善したといったデータもあるのでしょうか?
高田:はい。おかげさまで現在は約80万名のご加入者様がいらっしゃいますが、習慣的に運動する方が増えたことはデータからも明らかです。それによって血圧が下がるなど、健康データも改善しています。ご加入者様へのアンケートでは、「毎日が楽しくなった」「家族の会話が増えた」「健康に親しみやすくなった」といったご好評の声もいただいています。
田中:まさに「あなたの未来を強くする」というブランドミッションを、Vitalityで実現しているわけですね。
リアルなスポーツイベントも。健康を体感できるスペースへ
田中:なるほど。ありがとうございます。
高田:店内にはお客さまとの商談スペースも設けています。それからフロア全体をイベントスペースとして使うこともできますので、まさに和光の時計台をバックにさまざまなイベントを実施していこうと思っております。
田中:そうなんですね。では最後に、せっかくなので日本一のベランダもご案内いただきましょう。すごいですね。左には和光の時計台が見え、右には銀座三越があります。
高田:この交差点は、日本一地価が高いことで有名です。そして銀座のシンボルともいえる和光と銀座三越ということで、まさに「ブランド」のメッカから、Vitalityに関するさまざまな情報を発信し、Vitalityのブランドを築いていこうと思っています。
田中:ちなみにこのベランダ、すごくリッチなスペースですが、どのようにお使いになられるのでしょうか?
高田:商談スペースにもなりますし、例えばヨガ教室などの、さまざまな運動イベントを開催する際のスペースの一部にもできます。そうすると通りを歩いている皆さまにもご注目いただけると思います。現在はコロナ禍ということで集客イベントは中止していますが、いずれはそういった形でも活用できればと考えています。
田中:そうですか。ぜひ私のビジネススクールの授業にもお貸しいただければ(笑)。
高田:ぜひ!先生の授業を、ここ銀座で行っていただければ、私としても幸いです。