日本メディアが報じない、中国・「信用スコア」の現実

アリババが行なっているサービスの中に芝麻信用(ゴマ信用)というサービスがある。
日本ではメディアで取り上げられた関係で、この名前を聞いたことがある人は多いだろう。
しかし、メディアの伝え方が少し曲がっているような気がしている。というのは弊社の深センツアーに来る多くの方が、この芝麻信用について質問されるが、現地での状況と日本での認識のズレがあまりにも大きいため、今回は文章として書いてみることにした。

アリババが2015年にリリースした芝麻信用は、個人の信用度をポイント化したもので、様々な要素で点数が決まる。自分のアカウント内に学歴や免許証、資産情報などを入れる。情報が多ければ多いほど点数は上がりやすい。

実はテンセントも同じ時期にテンセント信用というサービスをリリースしているが、こちらに関しては名前すら聞いたことがない人が多いだろう。

信用サービスは存在しながらも、言うほど多くの人が使っているわけではない。筆者は免許証情報とメールアドレスくらいしか入れていない。現在の点数は以下である。
日本のメディアでは、中国人は皆この点数を気にして生活しており、例えば結婚などの時は相手の点数を見るという報道がされていたようで、このような内容の質問はよくされるのである。

点数を下げないために中国人は普段の行いも良くするように心がけているから、街が綺麗になっているという事も聞かれることもある。

しかし、筆者の周りの中国人に聞いてみたが実際にこの点数を気にしている人は、ほとんどいない。筆者の周りでは気にしている人はほぼ0である。

ほとんどの中国人は自分の点数すら何点か把握していない。お金を借りている人、ネット販売で『閑魚』という中古商品売買する人などで点数が関係している人に限っては気にしている人はいるが、メディアで言うほど多くないのが現状であると筆者は見ている。
この芝麻信用が日常生活で使われるのは、モバイルバッテリーや車のシェアリングサービス利用時に600点以上だとデポジット無料というくらいで、そもそも芝麻信用をアクティベートした時点で600点以上なので、下回る人はほとんどいないはずである。

なので、シェアサービスを使うときも点数を知らない状態で使っているのである。

このサービスの中には750点以上になるとカナダなどいくつかの国のビザが簡単に取得できるようになるというのもあり、ビザを狙っている人は上げるようにしている人も居るようである。
その中で、弊社の中国人スタッフは、気にしている人がいるとしたら、その人はお金を借りたい人くらいじゃないかと話していた。

筆者がいるのは深センで、深センには気にしている人がほとんど居ないが、アリババ本拠地のある杭州では少しくらい多いかもしれない。
どちらにせよ報道されているような使われ方はしていないのが事実である。これに近いアリババのサービスとして若者を中心に使われているのはアリババの“花唄”である。

これはクレジットカードとほぼ同じで、支払いをまとめて月末などにするもので、これは筆者周りの90後(90年代生まれ)を中心に利用者が多い。筆者調べでは、知り合いの中国人の5割近くは使っていた。

統計データによると中国には約1.7億人の90後(90年代生まれ)が居て、そのうち花唄ユーザーは4500万人居ると言われている。

おそらくこのサービスについてはあまり報道はされていないだろう。
このサービスは残念ながら外国人には開放されておらず筆者は使うことができないので、どんな感じかは分からないが、ある友人は食事の時だけ花唄を使っているとのことである。

毎月の食費などの計算が分かりやすくなるからとのことだ。

今回は芝麻信用について書いてみたが、これ以外にも深センのニュースとしてちょっと間違った内容での報道というのもたまに見かけるので、テレビの情報を鵜呑みにしてはいけないと思ってしまう。

深センはもともと情報が多くはない上に、イメージだけが先行してしまっている所もあると思うので、ぜひ一度足を運んでもらって、自分の目で見てもらいたい。

キャッシュレスという言葉だけが先走り、中国では全く現金が使えないと思っている人も少なくないと感じている。
佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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