【Society5.0】注目サービス Vol.4 食関連サービス

センサーやIoT、AIといったテクノロジーを活用し、データを集積した仮想空間から高付加価値を現実空間にフィードバックすることで、さまざまな社会的課題解決を図る「Society5.0」。その取り組みを業界別に紹介する連載シリーズ、第4回目は食関連のプラットフォーム・サブスクリプションサービスに着目してお届けします。

第3回で紹介した第一次産業とも密接に関わるのが、食関連の事業やサービス。従来よりも発展した形で生産者と消費者を効率よくつなぎ、生産ロスや中間コストを抑えたり、広告とは違う形で消費行動を喚起したりといったシステムに注目が集まっています。また、このコロナ禍においては、消費者が外出しなくても食材や調理済み食品が届く仕組みが急速に普及しました。
なお、生産者から直接食材を購入できるような「第六次産業」やスマートフードチェーン関連については第3回記事でも紹介しています。

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“食”は生命活動であるだけでなく、趣味や文化にも発展している一大産業

私たちの生活において欠かすことができない “食”。健康に大きな影響を与えるため、将来的な人口問題や医療費削減にも寄与すると考えられています。また、単に健康という観点だけではなく、調理したり、味わったりする行為自体がQOLを高める「楽しみのひとつ」だと捉えられており、その点に注目したサブスクリプションサービスなども続々と登場しています。
これら、Society5.0を活用した食関連サービスには、次のようなものが挙げられます。

・レシピやヘルスケア情報を提供しつつ、取得したビッグデータや嗜好に合わせて生産者や食品メーカーと消費者をマッチングするサービス
・嗜好や健康状況などに合わせて、オーダーメイドで飲食を提供するサービス
・遺伝子解析をはじめとするビッグデータを活用し、新開発された飲食物の販売
・定額でコーヒーやお弁当などを購入できるサブスクリプションサービス
・オフィスや自宅などに調理済み食品を届けるサービス、またはそれに伴う配送者をつなぐプラットフォームビジネス
・飲食店や配食センターにおける在庫の最適化


食関連サービスでは、1~2方面の課題解決を図るだけでなく、生産者・飲食店・物流・消費者のそれぞれが抱える複数の問題を解決する“三方以上良し“なサービスが増えています。
そのサービス事例を見ていきましょう。

パーソナルデータを活用したサービス

DELISH KITCHEN(株式会社エブリー)
国内最大級の規模を誇るレシピ動画メディア。オンラインとオフラインをつなげるEC施策や、ネットスーパー等と連携することでレシピの材料を即座に購入できるシステム構築に取り組んでいます。また、小売店向け施策も数多く、消費者と小売店、メーカーをつなぐ「食のプラットフォーム」の役割を果たしています。

conomeal kitchen(株式会社ニチレイ)
2020年9月にβ版をリリース。6つの質問に答えることで食に対する価値観を診断し、AIがおすすめのレシピを提案。使い続けることでAIの学習が深まり、ユーザーの味の好みや気分、食事をとる場面などに応じてさらにパーソナライズされます。まとめて下ごしらえし、日々の調理時間を節約することが可能な自家製ミールキットのレシピ紹介コンテンツを提供している点も特徴です。

サケアイ(株式会社サケアイ)
飲んだ日本酒を記録することで、AIが嗜好に合った日本酒をおすすめしてくれるサービス。新潟県内であれば、おすすめされた日本酒の取扱店を探すこともできます。日本酒の銘柄が細かくデータ化されており、絞り込み検索も簡単です。

OiCy(クックパッド株式会社)
レシピと連動して、スマホから調理器具を操作したり、火加減などの調理ログを記録できたりするスマートキッチンサービス。これらの情報はコミュニティで共有でき、料理の楽しさを広げます。また、クックパッドのレシピに合わせて自動的に調味料を用意してくれる調味料サーバー『OiCy Taste』も開発されています。

アレルギー表作成代行サービス(株式会社CAN EAT)
食事嗜好プラットフォーム事業を手がけるCAN EAT社。アレルギーや苦手なものなどを記録し、友人や飲食店にシェアすることで、すべての人が外食を楽しみやすくなります。その基軸サービスを応用し、スマホで原材料欄を撮影するだけでアレルギー含有物の有無を判定し、アレルギー表を作成できるサービスも展開。メニューごとのアレルギー表も作成できるため、飲食店での活用も期待されます。

healthServer(ドリコス株式会社)
世界初、オーダーメイドサプリメントサーバーを開発。目標やトレーニングに合わせたジム向けサーバーや、生理周期と連携した女性向けサーバーなども展開。いずれも、その時々の体調や目指したい身体に合わせて自動的に量や組み合わせを調整し、最適なサプリメントを提供してくれます。

生産者や飲食店と、消費者をつなぐサービス

TABETE(株式会社コークッキング)
閉店間際の飲食店などに残っている食事を、アプリ上で食べ手とつなげることで、フードロス削減を目指すサービス。地方自治体との連携も活発で、複数の掲載店から買い取った商品をパックして駅ナカや企業内で販売する『TABETEレスキューデリ』など波及サービスも展開しています。

Heno Heno(デイブレイク株式会社)
規格外サイズ、少々のキズなどの理由で廃棄されていたフルーツ・野菜を、品質を落とさない特殊な冷凍技術により「そのまま食べられる」商品として展開。IT活用により、フローズンフルーツを契約オフィスに届けるサービスも展開し、新たな福利厚生サービスを提案しています。

八面六臂(八面六臂株式会社)
中央卸売市場に加え、全国の生産者から魚介類・野菜・一次加工食品を直接仕入れ、飲食店に販売・配送するサービスを展開。スマホやタブレットから、欲しい食材を希望量で仕入れることができるため、大量仕入れやサプライチェーンの内製化が難しい中小飲食店や、在庫に偏りがある場合などに重宝されています。

O:der Platform(株式会社Showcase Gig)
来店客が自分のスマホでテーブルオーダーできる『O:der Table』、専用端末で店内外から注文と決済をおこなう『O:der Kiosk』、購入者のスマホからテイクアウトの注文・決済を行う『O:der Wallet』などのサービスを統合したモバイルオーダープラットフォーム。注文や支払いを簡略化し、待ち時間の短縮や人員削減を可能にします。

OFFICE DE YASAI(株式会社KOMPEITO)
野菜をしっかり摂れる置き型社食を展開。1つ100円~(提携先企業の従業員価格)でサラダやフルーツを購入できる「オフィスでやさい」プランと、しっかりとした食事に適したお惣菜などが購入できる「オフィスでごはん」、そしてリモートワーカーの自宅にスムージーや野菜を届ける「オフィスでやさい forリモート」プランを展開しています。

キッチンベース(株式会社SENTOEN)
デリバリー特化型レストラン向けのクラウドキッチンサービス。キッチンベース自体がUber Eatsや出前館などのデリバリープラットフォームと契約しており、クラウドキッチンで作った料理をそのまま販売することができます。カスタマーサービスもキッチンベースが請け負うため、調理スタッフさえいれば開業可能です。

サブスクリプションタイプのサービス

PostCoffee(POST COFFEE株式会社)
約15万通りの中から、個人の嗜好に合わせたコーヒー豆が定期的に届くサブスクリプションサービス。好きなスイーツやお酒、ライフスタイルなどから自分専用のコーヒーボックスをカスタマイズ。世界約15カ国から厳選されたスペシャルティコーヒーと、シュガーやミルクなどを飲み方に応じてセットし、配送します。ハンドドリップや水出し、フレンチプレス、コーヒーバッグなど、淹れ方の好みへの対応も充実しています。

snaq.me(株式会社スナックミー)
好みや除外食材などの情報に基づき、毎月変わる100種類以上のおやつを食べきりサイズで8つ配送。人工添加物はもちろん、ショートニングや白砂糖なども不使用でヘルシーなおやつです。2020年11月からは、おつまみのサブスクリプションBOX『otuma.me』の販売もスタートしました。

POTLUCK(株式会社RYM&CO. )
飲食店のテイクアウトを月額定額制で受け取れるサービスを展開。1日2回まで注文可能で、アプリから事前予約することにより、希望の飲食店ですぐに商品の受け取りができます。ランチだけでなくディナーにも対応。選択できるお店・メニューがリアルタイムに変わっていくので、気分や体調に合わせて選べるのは嬉しいポイントです。

the kindest(株式会社MiL)
商品・サービスの開発を行うフードテック会社が、シェフや小児科医などとタッグを組んで手掛けるサブスクリプション型離乳食。安全・安心に配慮された離乳食がパウチパックで届きます。離乳食の進み具合に合わせたコースを、成長スピードに合わせていつでも変更・スキップすることができます。

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