DX戦略

【Society5.0】注目サービス Vol.6 防災・消防・救急関連

センサーやIoT、AIといったテクノロジーを活用し、データを集積した仮想空間から高付加価値を現実空間にフィードバックすることで、さまざまな社会的課題の解決を狙う「Society5.0」。その取り組みを業界別に紹介する連載シリーズ、第6回目では、防災、消防および救急に関連した取り組みをご紹介します。

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コロナ禍の影響もあり、防災にもDX化と技術革新が期待されている

防災・消防・救急対策は、国や自治体の大切な役割の一つ。有事の際は、自助・共助をいかに実現できるかという個人の対応も問われます。

総務省の令和3年度予算では、ケーブルテレビの光化(11億円)・科学技術の活用による消防防災力の強化(5.1億円)、地方公共団体における防災情報の伝達体制の強化(22.4億円)、公共安全LTEの本格導入に向けた技術検証(18億円)などが盛り込まれており、引き続き国の施策としても、防災・消防・救急対策における情報技術の活用に力点がおかれています。

とりわけ「科学技術の活用による消防防災力の強化」では、新たな技術の研究開発だけでなく、製品化への取り組みに対しても支援することが決まっており(消防防災科学技術研究推進制度 1.3 億円)、実用化の推進が期待されます。またドローン活用をはじめ、多様化・大規模化する災害の消防活動能力向上を図る技術開発支援にも、昨年に引き続き予算が設けられています。

「公共安全LTEの本格導入に向けた技術検証」の予算枠は、本年から新たに設けられました。災害現場などにおいて、円滑な通信や情報共有手段を確保できるような仕組みづくりを推進するもので、既存の携帯電話技術を活用・共同利用することによる低コストでの導入運用を目指しています。

なお、消防庁では科学技術基本計画をふまえた「消防防災科学技術高度化戦略プラン」を策定し、5年ごとに改訂しています。最新版は平成30年3月に改訂されたものになりますが、そこでは研究成果の社会実装を推し進めることが主眼に置かれています。では、実際に官民それぞれの取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか?

官公庁主体の取り組み

消防ロボットシステム(スクラムフォース)の配備
地震が多発する日本では、石油コンビナートの大規模・特殊災害の発生が懸念され、その際に消防隊が現場に近づけないという課題がありました。そこで災害状況を無人で確認できる画像伝送、放水をはじめとする消防活動ができる消防ロボットシステムの研究開発が、官民学連携によって平成26年度から進められてきました。このロボットにはAI技術なども活用されており、消防隊員が操縦することなく半自律的に消防活動を行うことができます。
ロボットは、飛行型偵察・監視ロボット「スカイ・アイ」、走行型偵察・監視ロボット「ランド・アイ」、放水砲ロボット「ウォーター・キャノン」、ホース延長ロボット「タフ・リーラー」の4種があります。これらのロボットをまとめて搬送・活動支援する専用車両も用意され、「スクラムフォース」という名称で呼ばれています。
スクラムフォースは令和元年に千葉県市原市で配備されたことを皮切りに、全国への普及が待たれています。

救急需要のメッシュ予測
全国的に問題となっているのが、救急搬送にかかる時間の延伸傾向。これに対応するために、AIを活用して一定の予測を行い、救急隊を効率運用する手法が研究開発されています。
このシステムは、過去の救急活動データ(発生日時、発生曜日、発生場所、年齢、性別、傷病名、対応救急隊名など)と気象予報(気温、天気)といったビッグデータを分析し、救急需要が多く見込まれるエリアをリアルタイム表示させる仕組み。
令和2年には名古屋市消防局において実証実験がなされ、実際に現場到着所要時間が短縮できることや、現場での対応可能という結果が得られています。

ドローンによる画像解析結果の消防防災活動への活用
消防研究センターでは、土砂災害の俯瞰映像を救助活動や安全確認に役立てる技術開発を以前より進めていました。従来はヘリコプターでなければ撮影できなかった俯瞰映像ですが、ドローンの普及に伴い簡便に撮影できるようになったこと、さらにAIやビッグデータを組み合わせることでより素早く効率的な情報収集ができるようになってきました。
令和元年の東日本台風(台風第19号)での神奈川県相模原市の土砂災害現場や、平成30年の北海道胆振東部地震では研究員が現地に派遣され、実際にドローン撮影画像を用いて救助活動や安全確認などに役立てられました。
近年ではドローン操縦ができる消防隊員を普及させるべく、オンライン育成システムや「ドローン運用アドバイザー育成研修」なども実施されています。

G空間情報と ICT を活用した大規模防火対象物における防火安全対策の研究開発
大規模防火対象物で、屋内測位システムによるG空間情報やICTを活用によって、在館者や消防隊員などの屋内位置情報を防災センターで把握するとともに、スマートマスク(地図情報や赤外線画像等を表示できる面体)の導入や、タブレットを活用した現場隊員との情報共有によって、効率的かつ安全に消防活動を行うための研究開発。
逃げ遅れた人や救助活動にあたる人の動きを一元管理し、適所への情報共有を実現することで、的確な初動対応の指示が可能になります。

インターネット・AI技術を活用した防災・減災に向けた連携協力に関する協定
LINE株式会社は、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)と「インターネット・AI技術を活用した防災・減災に向けた連携協力に関する協定」を2018年に締結しています。
この取り組みでは、LINEの防災向けAIチャットボットアカウントによる発災時の情報収集と、NIEDの「SIP4D」(組織を越えた防災情報の相互流通を担う基盤的ネットワークシステム)による情報共有・統合技術を連携させることを目的にしており、災害状況を迅速に把握・伝達しようという狙いがあります。

民間企業が提供するサービス事例

「流体予測AIシステム」(Arithmer 株式会社)
ドローンの測量データから3D地図を高速に作成し、水の流れをシミュレーションできる浸水予測AIシステムを開発。川の決壊等による浸水状況をいち早く予測し、ハザードマップを短時間で作成できるようになっています。浸水予測はcm単位でできることから、自治体のほか、被害状況を正確に把握したい損保などでも活用が見込まれています。

ボランティア管理プラットフォーム「スマレプ」(株式会社Resilire)
ボランティアのマッチングが行えるクラウド型のプラットフォームで、災害支援ボランティアの過不足や受付体制の未整備といった課題を解決しています。同社では、被災によって起こり得る企業の事業停止リスクをマネジメントし、損害を予防するSaaS型プラットフォーム「Resilire(レジリア)」を開発・提供。さらに、防災情報メディア「SAIGAI JOURNAL」を運営するなど、IT技術による「地球規模の災害レジリエンス」の構築をミッションに掲げた取り組みを進めています。

消防団アプリ「FireChief」(株式会社タヌキテック)
消防団の情報伝達や事務サポートを目的としたアプリケーション。東京消防庁や全国の消防団に採択されており、出動指令や災害情報の通知、被害の可視化などを、メンバーのスマホやPCにリアルタイム反映。さらに、スケジュール管理や業務連絡などもアプリ内で行えることから、事務作業の効率化にも役立ちます。消防・市町村職員および消防団員のみアクセス可能なセキュリティ環境を構築していることも特長の一つです。

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