フィリップス、遠隔集中治療ソリューションを日本市場へ本格導入

株式会社フィリップス・ジャパンは、2020年9月より遠隔集中治療ソリューション「eICUプログラム」を日本市場にて販売開始すると発表した。

出典元:プレスリリース
eICUプログラムは「People」「Technology」「Process」の3つをテーマに、支援センターから集中治療の現場に対して遠隔で支援を行い、医療現場の質の向上を目指した運用改善とリスクの共有により、感染リスクの軽減、安心安全の提供、受け入れ体制への貢献を促進するソリューション。日本の医療社会における集中治療の現場は、重篤患者の増加、医療従事者(集中治療認定医)の不足、医療の質の格差、新型ウイルス感染拡大への不安など、多くの課題への早期改善が求められている。

海外においては、既に15年以上にわたり、550の医療施設で導入されて支援をしてきた。その結果、死亡率低下、在室日数短縮、集中治療費用の削減、転院患者の削減などが評価されている。また、新型ウイルス対応においては、安定した患者の受け入れ、感染リスクの軽減、挿管やECMO等への遠隔支援など、多くのeICUプログラムの活用事例の報告があるという。

フィリップスはeICUプログラムにより、早期発見と介入による重篤化防止と、集中治療現場への安心と安全の提供、そして新型ウイルス感染拡大防止への貢献を、遠隔支援プラットフォームで実現することを目指す。

■eICUプログラムの特徴

1.  Population managementを可能にするCDSツール
eICUプログラムを運用する上で中心的な役割を果たすソフトウェアeCareManagerにはさまざまなCDS(Clinical decision support, 臨床意思決定支援)ツールが実装されており、支援センターから遠隔地の多数の患者の状態を一元的に把握する、Population managementを可能にする。eCareManagerは電子カルテ、生体情報モニター、人工呼吸器、重症部門システムなどからデータを収集し、独自のエンジンで解析することにより、膨大な量のデータを臨床的に意味のある情報として、即座にアクセスできる方法で表示する。これは高度な習熟度を持ち備えたベテラン専門医の暗黙知を数値化したようなものだという。支援センターが医師1名、看護師3名、医療事務1名のチーム構成の場合、最大で150名の患者に対して効率的に予防的なケアを実践し、ベッドサイドスタッフへの早期支援が可能となる。

a.Automated Acuity:患者の重症度、回復/増悪傾向の数値化。患者状態に合わせてベッドコントロールの判断を支援。
b.Discharge Readiness Score:退室後48時間以内の死亡リスク、再入室リスクを統計的に算出。在室期間の最適化、満床時の退室患者選択などを支援。
c.Smart Alerts:バイタルサイン、血液検査データ、処置の実施、敗血症の兆候を判別し、アイコンで通知。患者状態変化の早期検出を支援。

2.  オンラインビデオシステム
ベッドサイドスタッフは病室に設置された呼び出しボタンを押すことで、支援センターにいる専門の医師、看護師との双方向AV通信を活用して、懸念事項のコンサルテーションが24時間可能。支援センターはCDSツールが提供する情報を参照し、より手厚いケアを必要とする患者や転落リスクのある患者を優先して効率的なバーチャル回診が可能とする。また、高解像度のカメラにより、CDSツールによる通知を契機にバーチャル回診した患者のシリンジポンプ、人工呼吸器、酸素投与量などの状況を確認も可能で、現場への早期介入によりインシデント抑制にも寄与する。

3.  ワークフロー構築によるClinical transformation
優れたeCareManagerのCDSツールとオンラインビデオシステムというテクノロジーを単に有しているだけでは臨床的なアウトカムは期待できないという。目的に合わせて設計されたワークフローに沿って、ベッドサイドと支援センターが一つのチームとなって運用することによって、eICUプログラムとして機能する。支援センターは、スタッフの能力を最大化し、多忙なベッドサイドスタッフを24時間支援。医療現場における支援センターは「第二の目」とも言え、さらなる安心・安全な治療を受けることが可能になるとのことだ。

4.  レポーティングソリューション
eICUプログラム導入後の臨床的アウトカムを測定するためのソフトウェア、またeSearchのデータベースには大量のデータが蓄積され、そのデータは最新バージョンのAPACHEで解析され、死亡率、滞在期間、人工呼吸器装着期間、VTE予防策実施率、ストレス潰瘍予防策実施率などをユニット間で比較することを容易に実現可能とする。より高度な解析のためには、ピボットデーブルやSQLを用いることも可能。これらの情報を活用することで、臨床現場の運用改善に寄与する。
出典元:プレスリリース

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