Today's PICK UP

NVIDIAと大阪大学歯学研究科、口腔がん早期発見を支援するAIモデルの開発に向けた共同研究の契約を締結

NVIDIAは、大阪大学大学院歯学研究科の平岡慎一郎助教が推進するAIを活用した口腔粘膜疾患の研究に参画し、口腔がんの早期発見を支援するAIモデルの開発に向けて、2020年9月28日に共同研究の契約を締結したと発表した。
口腔粘膜疾患の中でも、口腔がんは口内炎との違いが専門医でないと判別が難しいため、口内炎と誤診されやすく、消化器がんと異なり視診での早期発見が可能にもかかわらず、発見時にはすでに切除不能な段階まで進展しているケースが多く、進行がんの割合が54%であるという報告もある。そのため、地域の歯科医や医療機関など、専門医でない医師の見過ごしや誤診を防止し、早期発見を促すための対策が急務となっている。

平岡慎一郎助教は、大阪大学歯学部附属病院と大阪大学サイバーメディアセンターらが推進するS2DH (Social Smart Dental Hospital)プロジェクトをきっかけとして、同センター先進高性能計算機システムアーキテクチャ共同研究部門Lee Chonho特任准教授(常勤)らを中心とする同センターの研究チームらとの連携を通じて、ディープラーニングを用いた口腔粘膜疾患診断法を確立する研究に取り組んでいる。2018年、口腔がんを判別可能なAIモデルの開発に向けて、AIの学習に必要となる良質で大量の症例写真の収集を第一のステップとし、共同研究機関からの協力を得て、口腔粘膜疾患写真を約3万枚収集。これは同分野の研究において、世界屈指の規模を誇るデータ量だという。

NVIDIAは、共同研究契約締結前の2018年のデータ収集の段階より、医用画像におけるAIのエキスパートという立場から研究支援を行ってきた。平岡慎一郎助教らの研究初期段階での課題は、大規模な学習データをより効率的に精度向上させるためのノウハウの獲得だった。そこで、データ収集後のアノテーション作業における必要なツール、データの前処理手法や使用すべきAIアルゴリズム等のアドバイスをNVIDIAから提供することで、平岡慎一郎助教らは大量の画像を実際に使えるデータとして有効活用し、効率的に学習させることに成功した。

平岡慎一郎助教は、その学習環境としてNVIDIAのデータセンターGPUを搭載した大阪大学サイバーメディアセンターのスーパーコンピューター、「OCTOPUS(Osaka university Cybermedia cenTer Over-Petascale Universal Supercomputer)」および研究用途に開発されたNVIDIAの高性能なグラフィックスカード、NVIDIA TITAN Vが搭載されたワークステーションを活用し、NVIDIAによる技術支援を受け効率的に研究を進めた。その結果、作成されたAIモデルは、悪性腫瘍、口内炎、白板症、良性腫瘍の4クラスにおいて、非常に高い精度を達成した。特に悪性腫瘍および口内炎の検出分類においてのモデルの精度は、感度、特異度ともに95%以上を達成しているとのことだ。

真の社会実装のためには、さらなる精度の向上が求められる。今回、平岡慎一郎助教らの研究グループは新たなAIモデルの開発を見据え、2020年から、NVIDIAと共同研究の連携を強化することとした。具体的には、大阪大学歯学部附属病院口腔外科を受診した口腔粘膜疾患患者に対して、口腔外科専門医により診断情報のラベルを付与し、匿名化したデジタルデータを使用する。それを用いて、日本をはじめNVIDIAの世界各拠点からのメンバーが参画し、AIの画期的な研究を支援するNVIDIA AI Technology Centerとの連携により、AIモデルの精度の向上をはじめ、診断の高速化など、今後の課題解決を目指す。

また、さらなる学習環境の強化、およびNVIDIAの医用画像向けプラットフォームであるNVIDIA Clara Imaging を活用する。Clara Imagingは、開発者や研究者がデータアノテーションを高速化し、専門領域に特化したAIモデルを構築し、最新のトレーニング済みモデルとリファレンスアプリケーションを使ってインテリジェントな画像処理ワークフローを導入することができるアプリケーション フレームワーク。また、最適な推論パフォーマンスを引き出すための鍵となるライブラリ、NVIDIA TensorRTを活用することで、学習済みのAIモデルを迅速に最適化し、検証・展開することが可能になる。

平岡慎一郎助教らが開発に取り組んでいる、口腔粘膜疾患の領域に関するこのような高精度のAIモデルは前例がなく、このAIモデルを社会実装することにより、世界中の口腔粘膜疾患の早期発見、早期診断に関しての貢献が期待されるとのことだ。
出典元:プレスリリース

人気記事

TVer 取締役とテレ東名物Pが語る、テレビと配信の未来【前編】 YouTubeもNetflixも、テレビの敵ではない?

TVer 取締役とテレ東名物Pが語る、テレビと配信の未来【前編】 YouTubeもNetflixも、テレビの敵ではない?

テレビが「お茶の間の王様」とされていたのも今は昔。2021年5月にNHK放送文化研究所が発表した「10代、20代の半数がほぼテレビを見ない」という調査結果は大きな話題を呼びました。そんなテレビの今を「中の人」たちはどのように受け止めているのでしょうか。そこでお話を伺うのが、民放公式テレビポータル「TVer」の取締役事業本部長である蜷川 新治郎氏とテレビ東京のクリエイティブプロデューサーを務める伊藤 隆行氏。前編では、コネクテッドTVの登場によって起きた変化や、YouTubeやNetflixといった競合コンテンツとの向き合い方についてお届けします。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

なぜ日本企業のDXはうまくいかないのか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO 石角友愛氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が、要因を徹底解説

なぜ日本企業のDXはうまくいかないのか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO 石角友愛氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が、要因を徹底解説

緊急事態宣言の度重なる延長、オリンピック開催是非の議論と、依然混沌とした状況が続く日本とは裏腹に、シリコンバレーではワクチンの複数回摂取が進み、市民がマスクなしで屋外を出歩く風景が見られ始めているそうです。コロナ禍と呼ばれる約1年半の間、アメリカのメガテック企業、ベンチャー企業はどのような進化を遂げたのか。DXを迫られる日本企業は何を学ぶべきなのか。『いまこそ知りたいDX戦略』、『“経験ゼロ”から始めるAI時代の新キャリアデザイン』の著者であり、パロアルトインサイトCEO、AIビジネスデザイナーの石角友愛さんをゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

「銀行は将来、もはや銀行である必要がない」デジタル時代の金融に求められるものとは。SMBCグループ谷崎CDIO×東大・松尾教授×デジタルホールディングス 鉢嶺

「銀行は将来、もはや銀行である必要がない」デジタル時代の金融に求められるものとは。SMBCグループ谷崎CDIO×東大・松尾教授×デジタルホールディングス 鉢嶺

コロナ禍を経て、全世界のあらゆる産業においてその必要性がますます高まっているDX。DXとは、単なるITツールの活用ではなく、ビジネスそのものを変革することであり、産業構造をも変えていくほどの力と可能性があります。そして、全ての日本企業が、環境の変化を的確に捉え、業界の枠を超え、積極的に自らを変革していく必要があります。 今回は、AIの第一人者であり東京大学大学院教授である松尾 豊氏にご協力いただき、デジタルホールディングス代表取締役会長 鉢嶺 登氏と共に、金融業界大手の中でいち早くデジタル化に着手した三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)の谷崎 勝教CDIO(Chief Digital Innovation Officer)にお話を伺います。DXの必要性を社内でどう伝え、どのように人材育成を進めてきたのか、また金融・銀行業界はDXによってどう変わっていくのか。デジタルならではのメリットとは。SMBCグループの取り組みに迫ります。

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

Clubhouseをはじめ、新勢力が次々と参入し、拡大を見せる音声コンテンツ市場。その中で、民放開始から70年の歴史に「大変革」を巻き起こしているのが“ラジオ”です。放送エリアの壁を取り払う、リアルタイムでなくても番組を聴けるようにするといった機能で、ラジオをデジタル時代に即したサービスに生まれ変わらせたのは、PCやスマートフォンなどで番組を配信する『radiko(ラジコ)』。今回は、株式会社radiko 代表取締役社長の青木 貴博氏に、現在までのデジタルシフトの歩みと将来の展望について、お話を伺いました。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタルネイティブ企業が金融業に参入し、キャッシュレス化が加速するなか、アコムが描く未来戦略とは

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタルネイティブ企業が金融業に参入し、キャッシュレス化が加速するなか、アコムが描く未来戦略とは

2021年6月23日開催のアコム株式会社の株主総会および総会終了後の取締役会において、木下政孝氏が新社長に就任しました。1993年に業界で初めて自動契約機「むじんくん」を導入し、2016年に「イノベーション企画室」を設立するなど、金融業界でも積極的に新しい取り組みやデジタルシフトを推進してきたアコム。新社長である木下氏は今どんな想いで会社のトップに立つのか。激動のコロナ禍を経た上で見えた、デジタルでは担えない、人の役割とは何なのか。立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

Walmart、Amazon、Peloton。コロナ禍で米メガテック企業に起きた変化から日本企業は何を学ぶべきか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO石角友愛氏、立教大学ビジネススクール田中道昭教授が徹底議論

Walmart、Amazon、Peloton。コロナ禍で米メガテック企業に起きた変化から日本企業は何を学ぶべきか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO石角友愛氏、立教大学ビジネススクール田中道昭教授が徹底議論

緊急事態宣言の度重なる延長、オリンピック開催是非の議論と、依然混沌とした状況が続く日本とは裏腹に、シリコンバレーではワクチンの複数回摂取が進み、市民がマスクなしで屋外を出歩く風景が見られ始めているそうです。コロナ禍と呼ばれる約1年半の間、アメリカのメガテック企業、ベンチャー企業はどのような進化を遂げたのか。DXを迫られる日本企業は何を学ぶべきなのか。『いまこそ知りたいDX戦略』、『“経験ゼロ”から始める AI時代の新キャリアデザイン』の著者であり、パロアルトインサイトCEO、AIビジネスデザイナーの石角友愛さんをゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。