デル・テクノロジーズら、新型コロナウイルス感染症の長期症状治療に向けて「デジタル ツイン」を構築

デル・テクノロジーズは、非営利のオープンソース研究機関のi2b2 tranSMART Foundationが、新型コロナウイルス感染症による長期症状治療のために、全世界からの非特定化した膨大な量の新型コロナウイルス感染症患者データをモバイル化した、「デジタル ツイン」の構築をサポートしていることを発表した。

デル・テクノロジーズのモダン インフラストラクチャーによって、i2b2 tranSMARTコミュニティーは、非特定化した患者データを使用してデジタル ツインを構築する。これらのデジタル ツインを使用して、個々に合わせた治療のシミュレーションを数百万回にわたり実行することで、研究者は遺伝的な背景と病歴に基づいて、患者に最適な治療法を判断することができるという。

デル・テクノロジーズは、この環境を実現し、デジタル ツインを構築するために、コンピューティング、AI(人工知能)、機械学習、高度なストレージ機能を提供することで、データ エンクレーブを構築。このデータ エンクレーブは、「Dell EMC PowerEdge」、「Dell EMC PowerStore」、「Dell EMC PowerScale」の各ストレージ システム、およびVMware WorkSpace OneとBoomiの統合サービスで構成されているセキュアなデータ ストレージ ネットワークだ。これによって研究者は、さまざまなモニタリング システムと電子カルテ(EHR)に分散しているデータを収集、格納、分析することができる。また、将来的には人工呼吸器や心臓モニターから収集したリアルタイムの臨床データを使って、これらのデジタル ツインをアップデートすることが可能になるという。

初期の時点で、研究者は、このデータ エンクレーブによって7万人の患者に対する試験、シミュレーション、分析を行い、これを国際的なコンソーシアムである4CE Consortium(米国、フランス、ドイツ、イタリア、シンガポール、スペイン、ブラジル、インド、英国のデータ協力機関を含む200以上の病院や研究センターで構成)と共有する。この取り組みにより、今後4年間で最大200万のデジタル ツインにデータを拡張する可能性があるとのことだ。

■新型コロナウイルス感染症の長期症状への理解と治療

新型コロナウイルス感染症患者の約20人に1人が重い倦怠感、集中力の低下、頭痛、不整脈、発熱、息切れなどの長期症状を経験する可能性が高いとされている。これらの患者が苦しんでいる長期症状は、正式にはSARS-CoV-2感染急性期後続発症(PASC)と呼ばれ、 なぜ体内からウイルスがなくなった後も一部の患者にこのような症状が出るのか、また新型コロナウイルスの長期的な影響については、ほとんど分かっていないのが現状だという。

これらの症状に関する研究には、膨大な量の患者データが必要だ。i2b2 tranSMART Foundationは、4CE Consortiumと直接コラボレーションして、世界200以上の機関で構成されているネットワークから生成されるデータのモバイル化を支援している。患者のプライバシーを守るため、すべてのデータは4CE Consortiumへの送信前に非特定化されているとのことだ。

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