【中国】注目される「完全防水ドローン」の開発者はなぜ「深セン」で起業したのか?

彼らは、先に本体に使われる素材、ネジ、センサー、飛行システムなどの防水処理から取り掛かった。その結果として、本体が水中から飛ばすことを実現させることに成功した。総ての外側のパーツを組み上げるだけで、密封性は保証され、特にテープで貼るなどの処理は必要ない。

このような棒数位設計が施され、swellproのドローンは水の上から飛ばし、水の上に着陸することが可能となった。また風による影響も風速8m/sの条件下でも飛行可能となっており、ドローンの応用シーンを更に拡大することが出来たと言えるだろう。
例えば、雨の降っている夜、海でサーフィンしている時、滝の近くでの撮影、飛ばしにくかった場所でも、このドローンを使うことで新しいシーンを撮影することが出来る。総ては本体に搭載された4kカメラと赤外線撮影モードがあり、本体重量2.5kgのオレンジの機体があるからこそ成り立つとのことである。
また、空撮以外のシーンとしては、swellproドローンは約1kgのものまで載せることが可能で、防水で物を運ぶことが出来る部分を合わせることで、天候が悪い中、緊急救援用品などを運ぶことも可能で、雨の中海で溺れている人に浮き輪を投じたり、天候の悪い山の中で救援物資を投降することも可能である。また、海で釣りにも使うことが可能で、釣り糸の先をドローンに持たせて、投げ釣りでは届かない所に釣り針を落とすことが可能である。

この企業は“遊ぶこと、考えること、実行することが出来る”という典型的な企業体質で、面白いことを生活に取り入れることで、イノベーションが生活を変えるという考えを持っている。

今回はそんな“深セン精神”をもった企業のメーカーである、CEOのEric Hu氏に話を聞くことが出来た。
スタッフのフリをして写るCEO Eric氏

スタッフのフリをして写るCEO Eric氏

1.創業チームはどのようにして立ち上げたのでしょうか。

Eric:2015年の設立時、最初は4人だったチームが現在は60人の規模になりました。チームの中のスタッフはほとんどがドローンが好きな80年代、90年代生まれなんです。設立から三年の間に、何度も繰り返し技術テストを行い、やっと雨の中を飛ばすことが可能で、水上からも飛ばすことが可能な完全防水のドローン開発に成功することが出来ました。

2.何故、深センでの起業を選んだのか?

Eric:我々のチームのスタッフはもともと深センで仕事をしていて、そこでの生活や人脈、関係などから、深センという場所で起業することが条件として比較的良いという点です。更に重要なのは深センという場所がハードウェア、ソフトウェア、サービスどの方面の業界も地盤が出来ていて、各業界の人を集められるという点です。さらに言えば、我々のようにドローン事業を行うには深センの他に選べる場所がないと言えるでしょう。
3.現在、防水ドローンに対するマーケットの反応はどうですか?

Eric:今の所、メインとなる市場は海外で、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパとなっています。この地域はウォータースポーツ愛好家が多く、ニーズもあります。毎月約、400-500台売れてます。逆に中国国内の反応は薄く、売上の10%くらいです。

4.今までやってきた中で課題点や問題点などありますか?

Eric:まずは資金の問題がありました。今はまだ融資を受けていないんです。新製品の開発においては、技術に投入する時間とコストは大きいので、私達のような小さい会社に取ってはリスクが非常に高いんです。なので失敗すると取り返しがつかなくなるので、一歩一歩確実に進めるようにしています。

また、もう一つは市場の問題があります。皆さんの消費概念はゆっくりではあるが変わってきていますが、ウォータースポーツを楽しむ人達には限りがあります。またその中で1台2000ドルもするようなドローンにお金を出す人は更に少ないでしょう。ですので、我々は政府や、地方の関連部門との関係を作り、海上での救援などの方面に使ってもらえるように動いています。
救命道具を搭載したsplash droneシリーズ

救命道具を搭載したsplash droneシリーズ

5.swellproの次のステージにおける計画はありますか?

Eric:製品とその技術を更に高めて、より良く、より遠くに飛ばせるようにするというのが長期的な計画です。

6.日本の市場についてどう見ていますか?

Eric:日本の市場を切り開くのはそれなりに難しいです。主にはドローンを飛ばせる電波環境と、ライセンスの問題です。現在、我々の製品は5.8GHzの無線を使っているが、日本に向けて2.4GHzの製品も作らなければならない。もし、日本の政府がドローンに対しての法律をもっと寛大にしてくれれば、我々の製品は日本市場で価値が上がるでしょう。

最後に伝えておきたいのは、swellproは南山区近郊の花の卸売市場の中にあり、DJIの新本社ビルからもそんなに遠くはない位置にある。

DJIの製品についてどう見ているかという質問に対して、Eric氏は広東なまりの北京語で笑顔で答えてくれた。“コンシューマー向けドローンとしては我々はDJIのライバルにもなっていないんです。しかし我々の製品には強い個性があって、これは彼らには出来ない所だと思います”

Swellproの製品の素晴らしさとCEOの言葉の節に見える自信を見ることが出来た今回のインタビュー、今後の発展に期待したい企業だと感じた。
インタビュー/文:Murra(ホワイトホール)

編集:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

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