中国最前線

【中国】注目される「完全防水ドローン」の開発者はなぜ「深セン」で起業したのか?

現在、世界ではドローン業界がものすごいスピードで進んでいる。ドローンの応用においては世界の中でも中国がリードしており、警察、消防、農業、測量、配送、など様々な業界にて応用されている所を見ることが出来る。

一般人の目線からの要求としては、コンシューマー向けの空撮用ドローンとなるが、天候による影響が大きな問題となっている。

この問題に対して、深センのswellproと呼ばれるドローンを創るスタートアップ企業が研究開発した、完全防水ドローンが最近展示会でも注目されている。
彼らは、先に本体に使われる素材、ネジ、センサー、飛行システムなどの防水処理から取り掛かった。その結果として、本体が水中から飛ばすことを実現させることに成功した。総ての外側のパーツを組み上げるだけで、密封性は保証され、特にテープで貼るなどの処理は必要ない。

このような棒数位設計が施され、swellproのドローンは水の上から飛ばし、水の上に着陸することが可能となった。また風による影響も風速8m/sの条件下でも飛行可能となっており、ドローンの応用シーンを更に拡大することが出来たと言えるだろう。
例えば、雨の降っている夜、海でサーフィンしている時、滝の近くでの撮影、飛ばしにくかった場所でも、このドローンを使うことで新しいシーンを撮影することが出来る。総ては本体に搭載された4kカメラと赤外線撮影モードがあり、本体重量2.5kgのオレンジの機体があるからこそ成り立つとのことである。
また、空撮以外のシーンとしては、swellproドローンは約1kgのものまで載せることが可能で、防水で物を運ぶことが出来る部分を合わせることで、天候が悪い中、緊急救援用品などを運ぶことも可能で、雨の中海で溺れている人に浮き輪を投じたり、天候の悪い山の中で救援物資を投降することも可能である。また、海で釣りにも使うことが可能で、釣り糸の先をドローンに持たせて、投げ釣りでは届かない所に釣り針を落とすことが可能である。

この企業は“遊ぶこと、考えること、実行することが出来る”という典型的な企業体質で、面白いことを生活に取り入れることで、イノベーションが生活を変えるという考えを持っている。

今回はそんな“深セン精神”をもった企業のメーカーである、CEOのEric Hu氏に話を聞くことが出来た。
スタッフのフリをして写るCEO Eric氏

スタッフのフリをして写るCEO Eric氏

1.創業チームはどのようにして立ち上げたのでしょうか。

Eric:2015年の設立時、最初は4人だったチームが現在は60人の規模になりました。チームの中のスタッフはほとんどがドローンが好きな80年代、90年代生まれなんです。設立から三年の間に、何度も繰り返し技術テストを行い、やっと雨の中を飛ばすことが可能で、水上からも飛ばすことが可能な完全防水のドローン開発に成功することが出来ました。

2.何故、深センでの起業を選んだのか?

Eric:我々のチームのスタッフはもともと深センで仕事をしていて、そこでの生活や人脈、関係などから、深センという場所で起業することが条件として比較的良いという点です。更に重要なのは深センという場所がハードウェア、ソフトウェア、サービスどの方面の業界も地盤が出来ていて、各業界の人を集められるという点です。さらに言えば、我々のようにドローン事業を行うには深センの他に選べる場所がないと言えるでしょう。
3.現在、防水ドローンに対するマーケットの反応はどうですか?

Eric:今の所、メインとなる市場は海外で、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパとなっています。この地域はウォータースポーツ愛好家が多く、ニーズもあります。毎月約、400-500台売れてます。逆に中国国内の反応は薄く、売上の10%くらいです。

4.今までやってきた中で課題点や問題点などありますか?

Eric:まずは資金の問題がありました。今はまだ融資を受けていないんです。新製品の開発においては、技術に投入する時間とコストは大きいので、私達のような小さい会社に取ってはリスクが非常に高いんです。なので失敗すると取り返しがつかなくなるので、一歩一歩確実に進めるようにしています。

また、もう一つは市場の問題があります。皆さんの消費概念はゆっくりではあるが変わってきていますが、ウォータースポーツを楽しむ人達には限りがあります。またその中で1台2000ドルもするようなドローンにお金を出す人は更に少ないでしょう。ですので、我々は政府や、地方の関連部門との関係を作り、海上での救援などの方面に使ってもらえるように動いています。
救命道具を搭載したsplash droneシリーズ

救命道具を搭載したsplash droneシリーズ

5.swellproの次のステージにおける計画はありますか?

Eric:製品とその技術を更に高めて、より良く、より遠くに飛ばせるようにするというのが長期的な計画です。

6.日本の市場についてどう見ていますか?

Eric:日本の市場を切り開くのはそれなりに難しいです。主にはドローンを飛ばせる電波環境と、ライセンスの問題です。現在、我々の製品は5.8GHzの無線を使っているが、日本に向けて2.4GHzの製品も作らなければならない。もし、日本の政府がドローンに対しての法律をもっと寛大にしてくれれば、我々の製品は日本市場で価値が上がるでしょう。

最後に伝えておきたいのは、swellproは南山区近郊の花の卸売市場の中にあり、DJIの新本社ビルからもそんなに遠くはない位置にある。

DJIの製品についてどう見ているかという質問に対して、Eric氏は広東なまりの北京語で笑顔で答えてくれた。“コンシューマー向けドローンとしては我々はDJIのライバルにもなっていないんです。しかし我々の製品には強い個性があって、これは彼らには出来ない所だと思います”

Swellproの製品の素晴らしさとCEOの言葉の節に見える自信を見ることが出来た今回のインタビュー、今後の発展に期待したい企業だと感じた。
インタビュー/文:Murra(ホワイトホール)

編集:佐々木英之
ホワイトホール深セン事務所にて10年間の中国ビジネス経験。
日本に出張すると数日で深センに帰りたくなるという「深セン通」である。

人気記事

TVer 取締役とテレ東名物Pが語る、テレビと配信の未来【前編】 YouTubeもNetflixも、テレビの敵ではない?

TVer 取締役とテレ東名物Pが語る、テレビと配信の未来【前編】 YouTubeもNetflixも、テレビの敵ではない?

テレビが「お茶の間の王様」とされていたのも今は昔。2021年5月にNHK放送文化研究所が発表した「10代、20代の半数がほぼテレビを見ない」という調査結果は大きな話題を呼びました。そんなテレビの今を「中の人」たちはどのように受け止めているのでしょうか。そこでお話を伺うのが、民放公式テレビポータル「TVer」の取締役事業本部長である蜷川 新治郎氏とテレビ東京のクリエイティブプロデューサーを務める伊藤 隆行氏。前編では、コネクテッドTVの登場によって起きた変化や、YouTubeやNetflixといった競合コンテンツとの向き合い方についてお届けします。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

なぜ日本企業のDXはうまくいかないのか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO 石角友愛氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が、要因を徹底解説

なぜ日本企業のDXはうまくいかないのか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO 石角友愛氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が、要因を徹底解説

緊急事態宣言の度重なる延長、オリンピック開催是非の議論と、依然混沌とした状況が続く日本とは裏腹に、シリコンバレーではワクチンの複数回摂取が進み、市民がマスクなしで屋外を出歩く風景が見られ始めているそうです。コロナ禍と呼ばれる約1年半の間、アメリカのメガテック企業、ベンチャー企業はどのような進化を遂げたのか。DXを迫られる日本企業は何を学ぶべきなのか。『いまこそ知りたいDX戦略』、『“経験ゼロ”から始めるAI時代の新キャリアデザイン』の著者であり、パロアルトインサイトCEO、AIビジネスデザイナーの石角友愛さんをゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

「銀行は将来、もはや銀行である必要がない」デジタル時代の金融に求められるものとは。SMBCグループ谷崎CDIO×東大・松尾教授×デジタルホールディングス 鉢嶺

「銀行は将来、もはや銀行である必要がない」デジタル時代の金融に求められるものとは。SMBCグループ谷崎CDIO×東大・松尾教授×デジタルホールディングス 鉢嶺

コロナ禍を経て、全世界のあらゆる産業においてその必要性がますます高まっているDX。DXとは、単なるITツールの活用ではなく、ビジネスそのものを変革することであり、産業構造をも変えていくほどの力と可能性があります。そして、全ての日本企業が、環境の変化を的確に捉え、業界の枠を超え、積極的に自らを変革していく必要があります。 今回は、AIの第一人者であり東京大学大学院教授である松尾 豊氏にご協力いただき、デジタルホールディングス代表取締役会長 鉢嶺 登氏と共に、金融業界大手の中でいち早くデジタル化に着手した三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)の谷崎 勝教CDIO(Chief Digital Innovation Officer)にお話を伺います。DXの必要性を社内でどう伝え、どのように人材育成を進めてきたのか、また金融・銀行業界はDXによってどう変わっていくのか。デジタルならではのメリットとは。SMBCグループの取り組みに迫ります。

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

Clubhouseをはじめ、新勢力が次々と参入し、拡大を見せる音声コンテンツ市場。その中で、民放開始から70年の歴史に「大変革」を巻き起こしているのが“ラジオ”です。放送エリアの壁を取り払う、リアルタイムでなくても番組を聴けるようにするといった機能で、ラジオをデジタル時代に即したサービスに生まれ変わらせたのは、PCやスマートフォンなどで番組を配信する『radiko(ラジコ)』。今回は、株式会社radiko 代表取締役社長の青木 貴博氏に、現在までのデジタルシフトの歩みと将来の展望について、お話を伺いました。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタルネイティブ企業が金融業に参入し、キャッシュレス化が加速するなか、アコムが描く未来戦略とは

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタルネイティブ企業が金融業に参入し、キャッシュレス化が加速するなか、アコムが描く未来戦略とは

2021年6月23日開催のアコム株式会社の株主総会および総会終了後の取締役会において、木下政孝氏が新社長に就任しました。1993年に業界で初めて自動契約機「むじんくん」を導入し、2016年に「イノベーション企画室」を設立するなど、金融業界でも積極的に新しい取り組みやデジタルシフトを推進してきたアコム。新社長である木下氏は今どんな想いで会社のトップに立つのか。激動のコロナ禍を経た上で見えた、デジタルでは担えない、人の役割とは何なのか。立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタル時代においても求められる「お客さま第一義」とは何か

アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタル時代においても求められる「お客さま第一義」とは何か

2021年6月23日開催のアコム株式会社の株主総会および総会終了後の取締役会において、木下政孝氏が新社長に就任しました。1993年に業界で初めて自動契約機「むじんくん」を導入し、2016年に「イノベーション企画室」を設立するなど、金融業界でも積極的に新しい取り組みやデジタルシフトを推進してきたアコム。新社長である木下氏は今どんな想いで会社のトップに立つのか。激動のコロナ禍を経た上で見えた、デジタルでは担えない、人の役割とは何なのか。立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。