DX戦略

世界に通用するまちづくりとは? 国内スマートシティ最前線

世界各国で進む、スマートシティ化。日本国内においても、各地で様々なスマートシティプロジェクトが立ち上がっています。国をあげた一大プロジェクトも少なくないスマートシティの最新情報を、事例を交えてご紹介します。

スマートシティの定義とは?

スマートシティとは、loTやAIをはじめとする先端技術を実装することで、あらゆるインフラや生活基盤を効率的に整備・運用し、課題解決している都市のこと。持続可能なまちづくりのひとつとして、世界各国で多数のプロジェクトが進んでいます。 日本においては、2018年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018-『Society5.0』『データ駆動形社会』の変革-」では、“まちづくりと公共交通・ICT活用等の連携によるスマートシティ”として触れられており、都市行政においても非常に重要な位置づけがなされています。それを受け、国土交通省ではスマートシティについて以下のように定義づけています。
都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区。
また、解決するべき課題としては以下をあげています。
・交通
(公共交通を中心に、あらゆる市民が快適に移動可能な街)
・自然との共生
 (水やみどりと調和した都市空間)
・省エネルギー
 (パッシブ・アクティブ両面から建物・街区レベルにおける省エネを実現。太陽光、風力など再生可能エネルギーの活用)
・安全安心
 (災害に強い街づくり・地域コミュニティの育成、都市開発において非常用発電機・蓄倉庫・避難場所等を確保)
・資源循環
 (雨水等の貯留・活用、廃水処理による中水を植栽散水等に利用)

スマートシティで活用されるテクノロジーとは

では、実際にスマートシティで活用される先進技術と課題解決法には、どのようなものがあるのでしょうか? スマートシティで取り入れられるテクノロジーは、大まかに分けて3つのカテゴリーに分けられます。

1. MaaS(移動・交通)

公共交通であるかどうかを問わず、ICTを活用してマイカー以外の交通手段全てをクラウド化し、1つのサービスとしてつなげる移動概念。路線・経路案内/予約・決済/電車とレンタカー・電車とホテルなど、複数サービスの統合などがこれにあたります。

2. 通信ネットワークとセンシング・認証

5G通信規格による高速大容量通信への対応、レーザーやセンサーを活用し環境情報や混雑状況を把握する、イメージセンシングによるセキュリティ認証などがあります。リアルタイムデータを集積・活用するために、様々なデバイスの開発が進められています。

3. ビッグデータの管理および分析/予測

多量のデータを集約するプラットフォームを構築し、レーザーやセンサー、電気やガスなどのエネルギー利用状況といったリアルタイムデータを集積。それを交通・防災・セキュリティ・快適性向上・効率化などに反映させる技術です。

日本国内のスマートシティ事例

これまでに計画が進められた国内のスマートシティは、「個別分野特化型」と「分野横断型」に分けられます。その代表的な事例を以下にご紹介します。

けいはんなエコシティ(京都府相良郡)
北九州スマートコミュニティ(福岡県北九州市)
橫浜スマートシティプロジェクト(YSCP)(神奈川県横浜市)

2010年に経済産業省が選定した「次世代エネルギー・社会システム実証事業」に含まれ、エネルギーマネジメントシステム(EMS)、スマートグリッド、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)、ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)などの設置により、省エネルギー化を図っています。

長野県塩尻市
センサーネットワークを活用し、土石流や水位、鳥獣害などの減災情報や、市内循環バス情報、見守り情報などを提供し、消防・非常事態対応に取り組んでいます。

スマートシティ会津若松(福島県会津若松市)
ICTオフィスの整備や木質バイオマス発電によるエネルギーの地産地消などに取り組むほか、消費電力や地理情報システムを活用した空き家対策といった「まちの見える化」に着手。「DATA for CITIZEN(データフォーシチズン)」を構築し、公共データを公開し、多方面で活用されることで地域活性化につながることを目指しています。

柏の葉キャンパスシティ(千葉県柏市)
環境・健康・知縁・創造の4つのテーマに基づき、東京大学や千葉大学などとともに公民学連携によるまちづくりがされています。健康を後押しする情報提供や、複数の学術/研究機関・インキュベーション施設を設置し起業家支援できる環境を整備するといった取り組みを行っています。

Fujisawa SST(神奈川県藤沢市)
1000世帯が暮らすリアルなスマートタウンを目指し、エコで快適なまちづくりに取り組んでいます。CO2の70%削減、生活用水30%削減、再生可能エネルギー利用率30%以上など、具体的な目標を掲げ、戸建て住宅のすべてに太陽光発電システムと蓄電池ユニットを装備。街中には見守りカメラや照明を効果的に配置し、日々の安全と防災に役立てられています。

スマイル松山プロジェクト(愛媛県松山市)
県庁所在地ながら、半径5km圏内に都市機能が集中する特性を活かし、健康・観光・防災の3つを軸にICTを活用し、「住んでよし、訪れてよし」のバランスの取れた街づくりを目指しています。

スマートひかりタウン熊本(熊本県熊本市)
「まち・ひと・しごと」をキーワードに、ICT活用によって地方創生を目指しています。交通インフラや防災、観光のほか、重要な産業である農業と水産業でもICTが活用され、環境モニタリングや生育管理をテクノロジーによって効率化しています。

最新テクノロジーの具体的な活用例は? ~ スマートシティ竹芝の事例から ~

主な開発事例だけでは、実際にどんな技術がどのように使われているのかイメージするのは難しいかもしれません。そこで、最近注目を集めている「スマートシティ竹芝」(東京都港区)を例に、テクノロジー活用の具体例をご紹介しましょう。

スマートシティ竹芝は、東京版Society5.0を推進する先行モデルとして東京都が採択した事業の一つ。2020年9月には東急不動産と鹿島建設が開発したメインビルディング「東京ポートシティ竹芝」が開業し、大きな話題となりました。同ビルにはソフトバンクグループが新本社として入居するなど、あらゆる最新テクノロジーを集約させ、国際的に通用するまちづくりへの工夫がこらされています。

基幹システム

リアルタイムデータをやり取りする「Smart City Platform」(都市OS)
環境変化、歩行者の滞留の位置や時間など、情報に触れる人の様々な状況をリアルタイムデータとして収集、イベントドリブン型アプリケーションに返します。この技術により、例えば異常発生の検知から対応指示まで人の手を伴わない、自動警備などが可能になります。

データ収集と活用

カメラやセンサーなどによるデータ収集
AIカメラやセンサーなどから、トイレの空き状況、エレベーターや店舗・オープンスペースの混雑状況、ゴミ箱の状態、外部の環境(気温や天気)をキャッチアップ。サイネージに表示させる情報に役立てます。また、オフィスエレベーターでは乗客の利用階を顔認証により自動判別することも可能です。

サイネージによるハザード情報発信
適所に配置されたサイネージには、そのときに応じた情報が映し出されています。トイレやオープンスペースの空き状況、周辺の交通情報のほか、突然の大雨情報や、万が一災害が起きた際にはハザード情報を発信。リアルタイムデータを活用した避難誘導支援も可能です。

サイネージによる集客効率化
前述のカメラやセンサーなどから得た人流データをもとに、雨の日やアイドルタイムなど、空席率が高い日などに限定クーポンをデジタルサイネージに配信し、集客率を高めます。また、店舗の混雑状況もサイネージ表示されるので、ランチタイムをはじめとする混雑時のお店選びに役立ちます。

「人流ヒートマップ」で管理業務を効率化
人流や警備員の位置情報、要注意者検知などを一元的に可視化する「人流ヒートマップ」システムを導入。これにより管理室などで各フロアの状況を確認できるようになり、ビルマネジメント業務の効率化を図っています。

各種ツールを用いた警備システム
自動巡回するロボット警備、立ち入り禁止区域への侵入者を検知できる映像解析技術などを活用し、アラート情報を素早く収集。効率的な人員で、施設内のセキュリティを高められます。

リアルタイムデータを用いた商業支援
リアルタイムデータから得られた店舗および施設全体の利用者動向を解析し、その分析レポートを各テナントへ配信。ビル全体の動向に合わせた運営戦略を練ったり、在庫ロスの低減に役立ちます。

その他

高速通信、5Gの実装
通信不可のかかりやすいビデオ会議などもストレスフリーに使える高速通信規格、5Gを全館に実装。リモートワーク環境でもスムーズに業務を進められます。

海と陸をつなぐMaaS
JR、モノレール、高速道路を擁することに加え、羽田空港が近く海に面しているという立地特性を生かし、舟運を取り入れたMaaSハブ化を目指しています。道路渋滞や事故などに関係なく目的地へ向かえるだけでなく、海上交通によって移動の時間短縮も目指しています。

まだまだ広がる、スマートシティ計画

スマートシティの現状とテクノロジー活用例をご紹介しましたが、これらはまだまだ一部。すでに採用された技術もアップデートを続け、さらに活用法が広がる可能性もあります。
国や地方自治体をあげて推進しているスマートシティ計画も数多く、IoTを軸に官民一体となったまちづくりはこれからも拡大しそうです。

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