世界に通用するまちづくりとは? 国内スマートシティ最前線
2020/12/8
世界各国で進む、スマートシティ化。日本国内においても、各地で様々なスマートシティプロジェクトが立ち上がっています。国をあげた一大プロジェクトも少なくないスマートシティの最新情報を、事例を交えてご紹介します。
Contents
スマートシティの定義とは?
都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区。
・交通
(公共交通を中心に、あらゆる市民が快適に移動可能な街)
・自然との共生
(水やみどりと調和した都市空間)
・省エネルギー
(パッシブ・アクティブ両面から建物・街区レベルにおける省エネを実現。太陽光、風力など再生可能エネルギーの活用)
・安全安心
(災害に強い街づくり・地域コミュニティの育成、都市開発において非常用発電機・蓄倉庫・避難場所等を確保)
・資源循環
(雨水等の貯留・活用、廃水処理による中水を植栽散水等に利用)
スマートシティで活用されるテクノロジーとは
1. MaaS(移動・交通)
2. 通信ネットワークとセンシング・認証
3. ビッグデータの管理および分析/予測
日本国内のスマートシティ事例
けいはんなエコシティ(京都府相良郡)
北九州スマートコミュニティ(福岡県北九州市)
橫浜スマートシティプロジェクト(YSCP)(神奈川県横浜市)
2010年に経済産業省が選定した「次世代エネルギー・社会システム実証事業」に含まれ、エネルギーマネジメントシステム(EMS)、スマートグリッド、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)、ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)などの設置により、省エネルギー化を図っています。
長野県塩尻市
センサーネットワークを活用し、土石流や水位、鳥獣害などの減災情報や、市内循環バス情報、見守り情報などを提供し、消防・非常事態対応に取り組んでいます。
スマートシティ会津若松(福島県会津若松市)
ICTオフィスの整備や木質バイオマス発電によるエネルギーの地産地消などに取り組むほか、消費電力や地理情報システムを活用した空き家対策といった「まちの見える化」に着手。「DATA for CITIZEN(データフォーシチズン)」を構築し、公共データを公開し、多方面で活用されることで地域活性化につながることを目指しています。
柏の葉キャンパスシティ(千葉県柏市)
環境・健康・知縁・創造の4つのテーマに基づき、東京大学や千葉大学などとともに公民学連携によるまちづくりがされています。健康を後押しする情報提供や、複数の学術/研究機関・インキュベーション施設を設置し起業家支援できる環境を整備するといった取り組みを行っています。
Fujisawa SST(神奈川県藤沢市)
1000世帯が暮らすリアルなスマートタウンを目指し、エコで快適なまちづくりに取り組んでいます。CO2の70%削減、生活用水30%削減、再生可能エネルギー利用率30%以上など、具体的な目標を掲げ、戸建て住宅のすべてに太陽光発電システムと蓄電池ユニットを装備。街中には見守りカメラや照明を効果的に配置し、日々の安全と防災に役立てられています。
スマイル松山プロジェクト(愛媛県松山市)
県庁所在地ながら、半径5km圏内に都市機能が集中する特性を活かし、健康・観光・防災の3つを軸にICTを活用し、「住んでよし、訪れてよし」のバランスの取れた街づくりを目指しています。
スマートひかりタウン熊本(熊本県熊本市)
「まち・ひと・しごと」をキーワードに、ICT活用によって地方創生を目指しています。交通インフラや防災、観光のほか、重要な産業である農業と水産業でもICTが活用され、環境モニタリングや生育管理をテクノロジーによって効率化しています。
最新テクノロジーの具体的な活用例は? ~ スマートシティ竹芝の事例から ~
スマートシティ竹芝は、東京版Society5.0を推進する先行モデルとして東京都が採択した事業の一つ。2020年9月には東急不動産と鹿島建設が開発したメインビルディング「東京ポートシティ竹芝」が開業し、大きな話題となりました。同ビルにはソフトバンクグループが新本社として入居するなど、あらゆる最新テクノロジーを集約させ、国際的に通用するまちづくりへの工夫がこらされています。
基幹システム
環境変化、歩行者の滞留の位置や時間など、情報に触れる人の様々な状況をリアルタイムデータとして収集、イベントドリブン型アプリケーションに返します。この技術により、例えば異常発生の検知から対応指示まで人の手を伴わない、自動警備などが可能になります。
データ収集と活用
AIカメラやセンサーなどから、トイレの空き状況、エレベーターや店舗・オープンスペースの混雑状況、ゴミ箱の状態、外部の環境(気温や天気)をキャッチアップ。サイネージに表示させる情報に役立てます。また、オフィスエレベーターでは乗客の利用階を顔認証により自動判別することも可能です。
サイネージによるハザード情報発信
適所に配置されたサイネージには、そのときに応じた情報が映し出されています。トイレやオープンスペースの空き状況、周辺の交通情報のほか、突然の大雨情報や、万が一災害が起きた際にはハザード情報を発信。リアルタイムデータを活用した避難誘導支援も可能です。
サイネージによる集客効率化
「人流ヒートマップ」で管理業務を効率化
人流や警備員の位置情報、要注意者検知などを一元的に可視化する「人流ヒートマップ」システムを導入。これにより管理室などで各フロアの状況を確認できるようになり、ビルマネジメント業務の効率化を図っています。
各種ツールを用いた警備システム
自動巡回するロボット警備、立ち入り禁止区域への侵入者を検知できる映像解析技術などを活用し、アラート情報を素早く収集。効率的な人員で、施設内のセキュリティを高められます。
リアルタイムデータを用いた商業支援
その他
まだまだ広がる、スマートシティ計画
国や地方自治体をあげて推進しているスマートシティ計画も数多く、IoTを軸に官民一体となったまちづくりはこれからも拡大しそうです。