DX戦略

2021年、政府も支援を本格化。フードテックの代表格、「代替肉」を日本で定着させるべき理由

遅れていた日本にも代替肉の風が。2020年は日本の「代替肉元年」

2020年、日本では『代替肉元年』と言われるほど、代替肉商品が普及し始め、飲食店でもちらほらと見るようになってきた。

もともと欧米では数年前から代替肉ベンチャー企業が多く立ち上がっており、アメリカのビヨンドミート、インポッシブルフーズ以外にも、大手を含むたくさんの企業が参入している。しかし日本では、大手メーカーがテストマーケティングとして取り組み出しているものの本腰にはなっておらず、ベンチャー企業もほとんど存在していない。

そんな中、コメダ珈琲が銀座にKOMEDA is(コメダイズ)というプラントベース(植物由来)専門店を開業したり、ハンバーガーチェーンが代替肉を使用したハンバーガーの販売を始めたり、日本にとっては大きく変化した1年となった。

環境問題に特化した代替肉メーカー、ネクストミーツ株式会社が目指すもの

コロナ禍の2020年6月、私たちはネクストミーツ株式会社を立ち上げ、すぐさま「焼肉ライク」という焼肉屋全店で日本初焼肉用代替肉を提供開始するなど、日本の代替肉市場を大きく変化させてきた。今までの食品メーカーとは違い、商品がハードウェアのようにアップデートしていくなど、新しい形で商品を提供している。また、環境問題に特化した代替肉メーカーとして海外展開も目指している。

しかし、いい意味でもわるい意味でも、日本という場所は島国であるため、新しいものへの変化が苦手な国である。

欧米のマーケットでは“健康”という視点よりも、環境や食の安全性で代替肉を選ぶ人も多く、ビーガンやベジタリアン、宗教的な背景から肉を食べられない人などの多様性にもしっかりと対応している。

つまり欧米では、一時的なブームではなく、サステナブルな食生活として、代替肉が受け入れられているのである。

日本では、海外から取り入れたものは一過性のブームとして終わってしまうケースが多い。ここ数年、流行していたタピオカも今では下火になっているが、中国や台灣、香港では今も人気があり、単なるブームではない。

代替肉に関しては、このような一過性のブームに終わらせてはいけないものであり、しっかりと定着する市場を作っていくことが、日本の未来のために重要だと考えている。

なぜ今、代替肉が必要なのか

代替肉は世の中に必要なものだと言われているが、そもそも“なぜ代替肉が必要”なのか。

日本は、数十年前に比べると環境汚染が改善されてきている上に、健康面においても医療技術が高く、世界の中では長生きしている人が多い国だ。そして、少子高齢化によって人口は減りつつあり、2048年には1億人を割ると言われている。

ところが世界で見ると、地球温暖化・気候変動は進んでいることに加え、2050年には世界の人口が100億人近くまで増えると予測されている。日本とは全く逆の状況となっているのだ。

特に、地球温暖化は待った無しの状態で、パリ協定採択から5年経った2020年12月、国連が“気候の非常事態”を宣言するような状況となっている。

では、代替肉は環境にどのような影響を及ぼすのか。

畜産が出す温室効果ガスが、どのくらいの量であるか知っているだろうか。

国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、人為的に排出されている温室効果ガスのうち、畜産業は全体の約15%を占めると言われている。
数字だけで見るとそれほど多くないようにも思えるが、車や飛行機を含めた輸送業は全体の約13%であることと比べると、そのインパクトの大きさを想像しやすいだろう。


すでに見逃せる数字ではないのだが、それどころか、今後、世界の人口が増えることによって、家畜の数を増やしていくことになり、さらに数字は上がることが予想される。そう考えると、過剰な畜産を減らし、代替肉に置き換えていくことで、多くの温室効果ガスを抑えることがいかに重要なことであるかが分かるだろう。また、畜産は大量の水を使い、汚水を排出するため、水資源の観点においても代替肉の導入にはメリットがあるのだ。

このような背景を踏まえると、代替肉が世の中に必要なものであり、持続的なものとして導入しなければいけないことがよく分かるだろう。

ところが日本では、2050年までに温室効果ガスをゼロにするという目標が掲げられているものの、まだ食料における対策については言及されていない状況である。

先述のように日本は、世界とは逆の状況であるため、課題のリアリティに欠け、危機感を持つのが難しいということも理解はできる。しかし、近年の大雨や気温上昇によって、環境の変化は身近なものになってきているはずであり、いま危機感を持っておかないと世界から取り残されてしまう可能性すらあるのだ。

ニューヨークでは、一部の学校の給食にも取り入れ始められており、コペンハーゲンなどでは、肉を食べていることをナンセンスだと考える若者も多く存在する。先進国では、代替肉の存在を知らないことを遅いと捉えられる風潮になっていくかもしれない。

日本においても、代替肉市場をさらに盛り上げていく必要に迫られているのだ。
佐々木英之
ネクストミーツ株式会社 代表取締役

早くから起業した経験を活かし、海外に目を向け、中国深センにて12年間大企業向けのアクセラレータプログラムや、メディア運営といった様々な事業に携わる。
日本と海外(主に中国)での、オープンイノベーションを数多く手がけ、国境を超えた価値を作る。
2017年から代替肉の研究を始め、開発や研究を行う。商品が完成し、事業化が可能となった2020年6月にネクストミーツ株式会社を設立。
日本国内で多くのメディアに取り上げられ、日本を代表する代替肉ベンチャー企業となる。
フェイクミート研究家。

人気記事

住友生命が「保険を売らない」フラッグシップ店を銀座の超一等地に出店した理由。住友生命社長 高田幸徳氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談

住友生命が「保険を売らない」フラッグシップ店を銀座の超一等地に出店した理由。住友生命社長 高田幸徳氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談

デジタルシフトが加速するなか、大きな変革を求められている保険業界。そんななか「リスク」に備えるだけではなく、リスクを「減らす」健康増進型保険“住友生命「Vitality」”を提供するなど、デジタルの力でいち早く事業変革を実践しているのが住友生命保険相互会社です。今回はそんな同社が8月24日に銀座にオープンさせたばかりの「住友生命『Vitality』プラザ 銀座Flagship店」を舞台に実施された、同社の社長高田幸徳氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授の対談の模様をレポート。前編では、高田社長自ら銀座Flagship店をご案内いただきながら、銀座の一等地に「保険を売らない」保険ショップをオープンさせた狙いや、Vitalityによって住友生命が実現したいビジョンについてお話を伺いました。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。

デジタルシフトカンパニーへの変遷、中核企業だったオプト3分割の真の狙いとは。デジタルホールディングス 取締役 グループCOO 金澤大輔氏に立教大学ビジネススクール田中道昭教授が迫る

デジタルシフトカンパニーへの変遷、中核企業だったオプト3分割の真の狙いとは。デジタルホールディングス 取締役 グループCOO 金澤大輔氏に立教大学ビジネススクール田中道昭教授が迫る

2020年7月にオプトホールディングから社名を変更したデジタルホールディングス。従来のインターネット広告代理事業に代わり、企業のデジタルシフトを支援する事業を中核に据え、日本社会の挑戦の先陣を切り、社会のデジタルシフトを牽引する存在となっていくことを掲げています。 デジタルマーケティングの先進国アメリカでは個人情報を保護する法整備が進み、Web上でのクッキーの使用に大きな制限がかけられた結果、ウォルマートのような膨大な顧客データを持つ企業が自らメディア化する流れが生まれています。そんな中、日本の広告産業はどう変化していくのか。また企業のデジタルシフト事業を中核に据えたデジタルホールディングスはどう変化していて、変革の先にどんな未来を見据えているのか。元株式会社オプトの代表取締役社長CEOにして、現在は株式会社デジタルホールディングス 取締役 グループCOOを務める金澤大輔氏をゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

大手ゲーム会社も注目!今後のNFT市場をゲームが牽引する理由。

大手ゲーム会社も注目!今後のNFT市場をゲームが牽引する理由。

今年に入り、突如として注目度の高まった「NFT(非代替性トークン)」というキーワード。アート業界のバズワードとして認識している人も多いかもしれません。ところが実は、NFTはゲーム業界の未来、IP(知財)コンテンツの未来を考える上でも欠かせないキーワードであることをご存知でしょうか。そこで今回お話を伺ったのが、世界No.1を記録したNFTを活用しているブロックチェーンゲーム『My Crypto Heroes』(現在の運営はMCH社)を開発したdouble jump.tokyo株式会社の代表取締役 上野 広伸氏です。この新たなテクノロジーは、ゲームの世界にどのような変化をもたらすのでしょうか。そのポテンシャルに迫ります。

【保存版】全企業の経営者・DX推進者に贈る、デジタルシフトを成功に導く10箇条

【保存版】全企業の経営者・DX推進者に贈る、デジタルシフトを成功に導く10箇条

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、デジタル化が遅れていると言われ続けていた日本でも「デジタルシフト」「DX」という言葉を聞かない日はありません。しかし、その重要度や緊急度に対して、正しく認識できていない企業・経営者はまだ多いというのが現状です。 アメリカのコンサルティングファーム「イノサイト」によると、S&P500を構成する企業の平均寿命は年々低下してきており、2027年にはわずか12年になると予想されています。自動車に保険、ヘルスケアから不動産まで、GAFAをはじめとする巨大テック企業の影響を受けない業界は、今や皆無と言っても過言ではありません。あらゆる業種・業界が飲み込まれる「デジタル産業革命」待ったなしの現在、具体的にどのような手順、心構えでデジタルシフトに臨むべきなのか? 事業ドメインをデジタルシフト事業へと変更し、多くの産業・企業のDXを支援している株式会社デジタルホールディングス 代表取締役会長の鉢嶺 登氏は、「中途半端にDXに着手する企業は大抵失敗する」と語ります。

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

Clubhouseをはじめ、新勢力が次々と参入し、拡大を見せる音声コンテンツ市場。その中で、民放開始から70年の歴史に「大変革」を巻き起こしているのが“ラジオ”です。放送エリアの壁を取り払う、リアルタイムでなくても番組を聴けるようにするといった機能で、ラジオをデジタル時代に即したサービスに生まれ変わらせたのは、PCやスマートフォンなどで番組を配信する『radiko(ラジコ)』。今回は、株式会社radiko 代表取締役社長の青木 貴博氏に、現在までのデジタルシフトの歩みと将来の展望について、お話を伺いました。

人×デジタルの力でウェルビーイングに寄り添える生命保険会社へ。住友生命社長 高田幸徳氏×立教大学ビジネススクール 田中道昭教授対談

人×デジタルの力でウェルビーイングに寄り添える生命保険会社へ。住友生命社長 高田幸徳氏×立教大学ビジネススクール 田中道昭教授対談

デジタルシフトが加速するなか、大きな変革を求められている保険業界。そんななか「リスク」に備えるだけではなく、リスクを「減らす」健康増進型保険“住友生命「Vitality」”を提供するなど、デジタルの力でいち早く事業変革を実践しているのが住友生命保険相互会社です。今回はそんな同社が8月に銀座にオープンさせたばかりの「住友生命『Vitality』プラザ 銀座Flagship店」を舞台に実施された、同社の社長高田幸徳氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授の対談の模様をレポート。後編では、4月1日の就任から半年を経た高田社長の所感をはじめ、同社が掲げる新たな事業戦略、高齢化社会においてVitalityが果たす役割、生命保険業界の未来などについてお話を伺いました。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。