DX戦略

【Society5.0】注目サービス Vol.7 エネルギー・住宅設備

センサーやIoT、AIといったテクノロジーを活用し、データを集積した仮想空間から高付加価値を現実空間にフィードバックすることで、さまざまな社会的課題解決を図る「Society5.0」。その取り組みを業界別に紹介する連載シリーズ。第7回目では、エネルギーの効率的利用や住環境に技術を活用しているサービスをご紹介します。

これまでのSociety5.0関連記事

エネルギーの安定供給、環境負荷の軽減に貢献するAIやデジタルシステム

Society5.0の実現に向け、エネルギーは非常に重要な役割を担っています。特に、エネルギーの受給バランスをどう安定化するか、地球温暖化の進行をどう回避するかなどの課題に対し、AIやデジタルは大きな役割を担います。例えば、気象情報や発電所の稼働状況、EVの充放電状況、各家庭での使用状況などさまざまな情報を含むビックデータをAIで解析することで、「安定的なエネルギー供給」「エネルギーの地産地消」「各家庭(事業所)での省エネ」への貢献が期待できるのです。今回は、これらに関連するサービスについてご紹介します。

EMS(エネルギーマネジメントシステム)関連サービス

月額制で利用できるAI制御のEMS「EMS-AI」(株式会社 きんでん)
温湿度やCO2センサーの収集データをAIが分析し、空調設備を最適制御するビルや集合施設向けのシステムで、ビルマルチエアコンのほか中央熱源方式にも対応。間欠運転制御や室外機の容量制限制御を行うことで、10~30%の消費エネルギーの削減が見込めます。東京大学発のベンチャー企業、株式会社Mutronと協業して開発。月額制を採用することで、一度に大規模投資をすることが難しい不動産管理業者にとっても導入しやすいサービスとなっています。

自宅のエアコンを自動で遠隔操作「省エネIoTサービス」(株式会社Momo/株式会社環境エネルギー総合研究所)
気象情報や室内データの分析結果を活用し、居室のエアコンを遠隔操作するサービスを開発。電源コンセントに差し込んだIoTデバイスと室外機周辺の温湿度センサーによりデータを取得。収集データと気象庁による気象データを企業側でAI分析し、スマートリモコンに指令を出す仕組みです。2020年よりサービス付き高齢者住宅“ミライエ知立山屋敷”にて実証実験が行われており、空調費を最大40%削減することが期待されています。

一般家庭で簡単にエネルギーマネジメントができる「Nature Remo E」などを展開(Nature 株式会社)
スマートフォンからあらゆる家電を操作できるスマートリモコン「Nature Remo」、手軽に家庭でのエネルギーマネジメントが実現できる「Nature Remo E」などを提供。『エネルギーを自給自足できる未来』を目指し、近年は電力供給サービス「Natureスマート電気」も展開しています。

HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を活用し、賃貸向けに最適化した住宅「賃貸ZEH(ゼッチ)」(積水ハウス株式会社)
太陽光発電やエネルギー管理タブレットの活用に加え、断熱などの省エネ素材を併用することで1次エネルギー消費収支ゼロを目指した住宅。賃貸住宅向けに特化していることが特長で、光熱費を大幅に削減できると同時にCO2排出削減などにも寄与しています。

再生エネルギーの利活用

太陽光パネルと蓄電池を無料設置する「かりーるーふ」(沖縄電力株式会社)
太陽光パネルを無償設置し、太陽光で発電・蓄電した電気をおトクな料金で顧客に供給するシステム。住民側には設置・運用コストがかからず、メンテナンスやトラブル時の負担がないことが最大のメリット。また、発電された電気を格安で利用できるため電気代削減につながります。一方、沖縄電力側は確実かつ効率的に電気を販売すると同時に、余剰電力を安く買い取れるというメリットが生まれます。基本契約期間は15年で、初回申し込みはあっという間に枠が埋まるほどの人気だったそうです。

プラットフォーム関連サービス

発電所を顧客が間接的に選べる小売サービス「顔の見える電力」(みんな電力株式会社)
顧客がお気に入りの発電所を選び、毎月の電気料金の一部をみんな電力経由でその電力生産者に寄付することで支援ができます。電力供給の90%以上を再生可能エネルギーが占めており、料金メニューの原価構成を透明化することで、環境意識の高い顧客への訴求力を高めています。ブロックチェーン技術を活用した電源トラッキングサービスの開発・展開など今後に向けた事業も進めているそうです。

電力小売プロセスを自動化するプラットフォーム「パネイルクラウド」(株式会社パネイル)
電力小売が全面自由化される以前、その業務プロセスの多くは手作業が主流でした。その業務をAIとビッグデータを用いて自動化したことで、劇的なコスト削減を成功させた仕組みが「パネイルクラウド」です。2018年4月には東京電力エナジーパートナーと共同で合弁会社「PinT」を設立し、関東エリアから全国へのサービス提供を本格化すると同時に、不動産会社向けに複数物件の電気料金を一括支払いできるサービスを提供するなど、付加価値を付けたサービスにも着手しています。

エネルギー効率化のためのシミュレーション・解析技術

AI活用でダム発電を効率化「ダム最適運用システム」(北陸電力株式会社)
JFEエンジニアリングとともに、ダムへの水の流入量をAIで予測するシステムを開発。高精度で水の流入量を予測・最適化することにより、水力発電電力量を増加させることが可能で、浅井田ダム(岐阜県飛騨市)で実施された実証実験においては年間約500万kWh(約1,600世帯の年間使用量に相当)の増加が見込まれたそうです。

生産工場のエネルギー収支を独自評価する「ZEF」(大成建設株式会社)
エネルギー消費量をゼロ化することが難しいといわれる生産工場において、エネルギー収支ゼロを目指す独自評価軸「ZEF(Net Zero Energy Factory)」を新たに定義。評価対象範囲や設備を拡大するとともに、生産機器の稼働状況や人員状況に合わせて照明や空調、換気をリアルタイム制御。さらにエネルギーデータを常時取得してクラウド管理。エネルギー使用状況に基づいた運転・運用改善提案を行うことで消費エネルギー削減を目指しています。

電力システムのあり方をあらゆる角度から検証・提言(日立東大ラボ)
日立製作所と東京大学によって2016年に設立。電力を中心としたエネルギーシステムの技術的、政策・制度的課題の検討や、シナリオなどの研究、提言を行っています。ラボではSociety5.0に向けたビジョンとして、地域社会ごとの特色のあるエネルギーシステムを描いており、そのための技術革新と制度整備を進めるべきと述べています。

AIによるエネルギー消費の効率化を図る「NEC Energy Resource Aggregation クラウドサービス」(日本電気株式会社)
個人住宅や小規模企業にも発電システム・蓄電池の供給が進む中、それらを効率的に集約し、需給を調整することが新たな課題となっています。その課題に対し、クラウドやAIを活用することで複数の契約者(エネルギーリソース)を束ね、一つの発電所のようにリソース制御する仕組みがこのサービスです。これにより、需給調整市場で取引される調整力として機能し、エネルギーの有効活用をサポートしています。

人気記事

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。

住友生命が「保険を売らない」フラッグシップ店を銀座の超一等地に出店した理由。住友生命社長 高田幸徳氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談

住友生命が「保険を売らない」フラッグシップ店を銀座の超一等地に出店した理由。住友生命社長 高田幸徳氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談

デジタルシフトが加速するなか、大きな変革を求められている保険業界。そんななか「リスク」に備えるだけではなく、リスクを「減らす」健康増進型保険“住友生命「Vitality」”を提供するなど、デジタルの力でいち早く事業変革を実践しているのが住友生命保険相互会社です。今回はそんな同社が8月24日に銀座にオープンさせたばかりの「住友生命『Vitality』プラザ 銀座Flagship店」を舞台に実施された、同社の社長高田幸徳氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授の対談の模様をレポート。前編では、高田社長自ら銀座Flagship店をご案内いただきながら、銀座の一等地に「保険を売らない」保険ショップをオープンさせた狙いや、Vitalityによって住友生命が実現したいビジョンについてお話を伺いました。

大手ゲーム会社も注目!今後のNFT市場をゲームが牽引する理由。

大手ゲーム会社も注目!今後のNFT市場をゲームが牽引する理由。

今年に入り、突如として注目度の高まった「NFT(非代替性トークン)」というキーワード。アート業界のバズワードとして認識している人も多いかもしれません。ところが実は、NFTはゲーム業界の未来、IP(知財)コンテンツの未来を考える上でも欠かせないキーワードであることをご存知でしょうか。そこで今回お話を伺ったのが、世界No.1を記録したNFTを活用しているブロックチェーンゲーム『My Crypto Heroes』(現在の運営はMCH社)を開発したdouble jump.tokyo株式会社の代表取締役 上野 広伸氏です。この新たなテクノロジーは、ゲームの世界にどのような変化をもたらすのでしょうか。そのポテンシャルに迫ります。

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

世界のMaaS先進事例7選。鉄道・バス・タクシーなど交通手段を統合したサブスクモデルも!

国内でMaaS(Mobility as a Service)実証が活発化している。新たな交通社会を見据え、既存の交通サービスの在り方を見直す変革の時期を迎えているのだ。 交通社会は今後どのように変わっていくのか。MaaSの基礎知識について解説した上で、海外のMaaSに関する事例を参照し、その変化の方向性を探っていこう。

デジタルシフトカンパニーへの変遷、中核企業だったオプト3分割の真の狙いとは。デジタルホールディングス 取締役 グループCOO 金澤大輔氏に立教大学ビジネススクール田中道昭教授が迫る

デジタルシフトカンパニーへの変遷、中核企業だったオプト3分割の真の狙いとは。デジタルホールディングス 取締役 グループCOO 金澤大輔氏に立教大学ビジネススクール田中道昭教授が迫る

2020年7月にオプトホールディングから社名を変更したデジタルホールディングス。従来のインターネット広告代理事業に代わり、企業のデジタルシフトを支援する事業を中核に据え、日本社会の挑戦の先陣を切り、社会のデジタルシフトを牽引する存在となっていくことを掲げています。 デジタルマーケティングの先進国アメリカでは個人情報を保護する法整備が進み、Web上でのクッキーの使用に大きな制限がかけられた結果、ウォルマートのような膨大な顧客データを持つ企業が自らメディア化する流れが生まれています。そんな中、日本の広告産業はどう変化していくのか。また企業のデジタルシフト事業を中核に据えたデジタルホールディングスはどう変化していて、変革の先にどんな未来を見据えているのか。元株式会社オプトの代表取締役社長CEOにして、現在は株式会社デジタルホールディングス 取締役 グループCOOを務める金澤大輔氏をゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

デジタルシフトの先駆者が語るIX(Industrial Transformation)。DX全盛の今、産業変革に挑むべき理由とは?

デジタルシフトの先駆者が語るIX(Industrial Transformation)。DX全盛の今、産業変革に挑むべき理由とは?

2020年7月、日本企業および日本社会におけるデジタルシフトの重要性と緊急性をいち早く捉え、社名変更によって「まずは自らが変わる」という大きな決断と意思を示したデジタルホールディングス。コロナ禍によりDXという言葉が世の中に浸透し、各企業がこぞって取り組みを進める中、彼らは企業単体のDXだけではなく、産業変革=IX(Industrial Transformation)を起こしていくという新たな構想を打ち出している。IXとは何を意味するのか。IXによって社会はどのように変わっていくのか。本来の意味でのDXが日本で進んでいない要因とIXへの想いについて、グループCEO野内 敦氏にお話を伺いました。

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

コロナ禍でラジオが復権!? 民放ラジオ業界70年の歴史を塗り替えたradiko(ラジコ)の「共存共栄型 DX」とは

Clubhouseをはじめ、新勢力が次々と参入し、拡大を見せる音声コンテンツ市場。その中で、民放開始から70年の歴史に「大変革」を巻き起こしているのが“ラジオ”です。放送エリアの壁を取り払う、リアルタイムでなくても番組を聴けるようにするといった機能で、ラジオをデジタル時代に即したサービスに生まれ変わらせたのは、PCやスマートフォンなどで番組を配信する『radiko(ラジコ)』。今回は、株式会社radiko 代表取締役社長の青木 貴博氏に、現在までのデジタルシフトの歩みと将来の展望について、お話を伺いました。

マツダの天才エンジニアとして知られた人見氏が本音で語るDX!Appleなど巨大テック企業が参入するなか、日本の自動車メーカーの生き残り戦略とは?

マツダの天才エンジニアとして知られた人見氏が本音で語るDX!Appleなど巨大テック企業が参入するなか、日本の自動車メーカーの生き残り戦略とは?

100年に一度の大変革期を迎えている自動車業界。そのなかで日本の自動車メーカーの行く末に「猛烈な危機感がある」と明かすのは、かねてよりマツダの天才エンジニアとして知られ、現在はシニアイノベーションフェローを務める人見 光夫氏だ。Appleをはじめとした巨大テック企業たちが自動車業界への参入をこぞって表明する今、既存の自動車メーカーが生き残りをかけて望むデジタルシフト戦略とは。ここでしか聞けない、本音が満載のインタビューです。

【保存版】全企業の経営者・DX推進者に贈る、デジタルシフトを成功に導く10箇条

【保存版】全企業の経営者・DX推進者に贈る、デジタルシフトを成功に導く10箇条

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、デジタル化が遅れていると言われ続けていた日本でも「デジタルシフト」「DX」という言葉を聞かない日はありません。しかし、その重要度や緊急度に対して、正しく認識できていない企業・経営者はまだ多いというのが現状です。 アメリカのコンサルティングファーム「イノサイト」によると、S&P500を構成する企業の平均寿命は年々低下してきており、2027年にはわずか12年になると予想されています。自動車に保険、ヘルスケアから不動産まで、GAFAをはじめとする巨大テック企業の影響を受けない業界は、今や皆無と言っても過言ではありません。あらゆる業種・業界が飲み込まれる「デジタル産業革命」待ったなしの現在、具体的にどのような手順、心構えでデジタルシフトに臨むべきなのか? 事業ドメインをデジタルシフト事業へと変更し、多くの産業・企業のDXを支援している株式会社デジタルホールディングス 代表取締役会長の鉢嶺 登氏は、「中途半端にDXに着手する企業は大抵失敗する」と語ります。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

「8割以上の精度で、赤ちゃんが泣く理由が判明」CES2021イノベーションアワード受賞。注目の日本発ベビーテック企業とは

テクノロジーの力で子育てを変えていく。そんなミッションを掲げ、泣き声診断アプリや赤ちゃん向けスマートベッドライトなど、画期的なプロダクトを世に送り出してきたファーストアセント社。「CES2021 Innovation Awards」を受賞するなど、世界的に注目を集めるベビーテック企業である同社の強さの秘密とは。服部 伴之代表にお話を伺いました。