【保存版】全企業の経営者・DX推進者に贈る、デジタルシフトを成功に導く10箇条
2021/10/11
新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、デジタル化が遅れていると言われ続けていた日本でも「デジタルシフト」「DX」という言葉を聞かない日はありません。しかし、その重要度や緊急度に対して、正しく認識できていない企業・経営者はまだ多いというのが現状です。
アメリカのコンサルティングファーム「イノサイト」によると、S&P500を構成する企業の平均寿命は年々低下してきており、2027年にはわずか12年になると予想されています。自動車に保険、ヘルスケアから不動産まで、GAFAをはじめとする巨大テック企業の影響を受けない業界は、今や皆無と言っても過言ではありません。あらゆる業種・業界が飲み込まれる「デジタル産業革命」待ったなしの現在、具体的にどのような手順、心構えでデジタルシフトに臨むべきなのか? 事業ドメインをデジタルシフト事業へと変更し、多くの産業・企業のDXを支援している株式会社デジタルホールディングス 代表取締役会長の鉢嶺 登氏は、「中途半端にDXに着手する企業は大抵失敗する」と語ります。
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「守り」と「攻め」のDXでは、内容も推進者の役割も異なる
一方、本来の意味でのDXである「攻めのDX」は、デジタル産業革命による社会変革を適切に把握し、時代に合わせてビジネスモデルそのものを大胆に変革、もしくはアップグレードすることです。例えば自動運転技術の進歩や、カーシェアの普及により、自動車をつくって販売するというこれまでのビジネスモデルは成り立たなくなるかもしれず、また、完全な自動運転が確立されれば自動車保険が不要になる日が来るかもしれません。この「攻めのDX」を推進する「CDO(Chief Digital Officer)」は、デジタルを活用するだけでなく、デジタルを用いてビジネスを構築していく役割があるため、人選はとても重要です。この人選が適切に行えるか否かで、その後のDXの進展度合いは大きく変わってくるでしょう。DXに成功している企業は外部からCDOを登用するなど、CDO選びを慎重かつ積極的に行っています。外部からCDOを登用している企業の例としては、海外では非デジタルネイティブ企業でありながら、デジタルシフトに成功した企業として知られるウォルマートのほか、日本ではカインズ、出光興産などがあります。
DXの進め方としては、「守りのDX」で成果(コストダウン、業務効率の向上)を出してから「攻めのDX」に進むケース(図内A)が大半ですが、中にはいきなり「攻めのDX」を実施する(図内B)企業もあります。GAFAやスタートアップなどは、最初からデジタルをベースとしたビジネスを行っているため「守りのDX」の必要はなく、常に「攻めのDX」を行っています。
「攻めのDX」を推進するための“最初の4ステップ”とは
1. 変革推進者の任命
DXを推進するCDOには、社内でのコンセンサスを得られるだけの交渉力と政治力を備え、新規事業を開拓するパワーが求められます。これらをできない人が任命された場合、DXの前途は多難になるでしょう。
2. 経営層の意識改革
「とりあえずDXを推進しよう」程度の意識でDXは成功しません。DXによる新規事業の多くは赤字スタートとなり、収益化までに時間を要します。いかにCDOが有能でも、横に並ぶ経営層(CxO)の理解がなければDXの成功はないでしょう。
3. 全社員のリテラシー教育
DXの基礎知識はもちろん、GAFAの最新動向、海外の最新ビジネスモデルなどの知識は必須です。デジタルについて分からないということは、これからの時代、日本語が話せないのと同じような意味を持つでしょう。
4. 4職種の人材でチーム編成
CDOをリーダーに据え、以下の職種を束ねたDX推進チームを立ち上げましょう。
デジタルシフトを成功に導く10箇条
「攻めのDX」で先行する大企業。中小企業は堅実に「守りのDX」を進めることを推奨
鉢嶺 登
株式会社デジタルホールディングス 代表取締役会長
1967年千葉県出身。91年早稲田大学商学部卒。森ビル㈱勤務の後、米国で急成長しているダイレクトマーケティング業を日本で展開するため、94年㈱オプト(現㈱デジタルホールディングス)設立。2004年、JASDAQに上場。2013年、東証一部へ市場変更し、現職。eマーケティング支援にとどまらず、未来のデジタル事業の立上げやベンチャー企業の投資育成にも努め、グループ全体で未来の新事業創造に挑戦している。また、デジタル産業革命の中で、「デジタルシフトカンパニー」に軸足をうつし、㈱デジタルシフトの代表にも就任。日本の企業、社会全体のデジタルシフトを牽引、支援している。主な著書に『GAFAに克つデジタルシフト 経営者のためのデジタル人材革命』(日本経済新聞出版)『ZERO IMPACT あなたのビジネスが消える』(日経BP)がある。