DX戦略

なぜ日本企業のDXはうまくいかないのか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO 石角友愛氏と立教大学ビジネススクール田中道昭教授が、要因を徹底解説

緊急事態宣言の度重なる延長、オリンピック開催是非の議論と、依然混沌とした状況が続く日本とは裏腹に、シリコンバレーではワクチンの複数回摂取が進み、市民がマスクなしで屋外を出歩く風景が見られ始めているそうです。コロナ禍と呼ばれる約1年半の間、アメリカのメガテック企業、ベンチャー企業はどのような進化を遂げたのか。DXを迫られる日本企業は何を学ぶべきなのか。『いまこそ知りたいDX戦略』、『“経験ゼロ”から始めるAI時代の新キャリアデザイン』の著者であり、パロアルトインサイトCEO、AIビジネスデザイナーの石角友愛さんをゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。
後編は日本企業が陥りがちなDXを阻む壁について検証し、Amazon、Moderna、Googleの事例から参考にすべき点を抽出していきます。

*本稿は対談の要旨であり、実際の対談内容は動画をご覧ください。

DX推進を阻む「PoCの壁」を越える。AI導入に適した課題を探すための「FOME分析」

田中:今、PoCの話がでましたが、石角さんの著書『いまこそ知りたいDX戦略』の中でもDX推進の三つの壁という記載があります。一つ目の壁が「何から手をつけたらいいかわからない」、二つ目の壁が「なかなか実現フェーズに進まないPoCの壁」とのことです。この「PoCの壁」について改めて、どんな壁であり、クリアするには何が必要なのかを教えて頂けますか。


石角:DXを成功させるための二つ目の壁が「PoCの壁」です。この壁に関してはDX推進室や経営企画部が主体でDXを推進している会社によく見られます。情報収集能力はすごく高いので、課題抽出を社内で行い、PoCのパートナー企業を見つける、または社内にいるデータサイエンティストと共にPoCの実施まではできるのですが、その後の事業化に至る過程、例えば予算を取る、情報の共有基盤を作る、社内で稟議を通す、というところでうまくいかないことが多々あります。

社内の課題抽出やコンサルテーション、DXに関係のないツールのデジタル化、今ある基幹システムに対して新しい機能のリクエストやPoCばかり回していて、事業化に至る前までの過程で止まってしまう、という罠です。

この課題に関しては、やはり優先順位をつける目利き能力をDXの担当者、または経営者が身につけることがすごく大事だと思います。PoCの回数を組織のKPIにしないことです。PoCは基本的には事業化しないと意味がありません。あくまでも事業化ありきのPoCのデザインをすることが大切です。

ですから、PoCを回すだけで加点されるような組織の評価システムを作らずに、課題Aと課題Bのどちらが会社にとって重要かの優先順位をつけ、その評価基準を持つことがすごく大事になってくると思います。そのためには、例えばそのプロジェクトについて、PoCの実現可能性やビジネスへの応用性、検証性など、ABテストをきちんとすること、やった場合とやらない場合でどれくらい効果が出るのか。定量的、定性的にどう検証できるのかを明らかにすることが重要です。

あとは倫理的な影響なども含め、いろいろな角度からアイデアを見て、優先順位をつけて取捨選択する。そういうことがすごく大事になってくると思います。

田中:なるほど。おそらく、もともとPoCと略されるProof of Conceptはリーンスタートアップ、素早くやるための手段であったはずなのに日本企業の場合はPoCばかり回していて、本末転倒になっていますよね。

石角:そうなんですよ。事業化しなければ意味がないですよね。

田中:元々は詳細な計画を作らないと動けないところを、PoCでまずは概念立証を簡単にして、PoCの結果を元に細部を詰めていくための手段のはずでしたが、日本では本末転倒でPoCばかり回しているところも多いです。そこで石角さんは、著書の中で、プレAI診断のフレームワークであるFOME分析を提唱されていらっしゃいます。Fとは実現可能性(Feasibility)、Oは応用性(Opportunity)、Mは検証性(Measurability)、それからEは倫理性(Ethics)ですね。それぞれ一つひとつがすごく重要だと思うので、FOME分析へのこだわりや使い方をご説明いただけますでしょうか?

石角:はい。例えばマーケティング部で過去に消費者のアンケートデータをたくさん取っている会社があり、それに対してアンケートの情報を自然言語処理で解析して、商品開発のアイデアを考えたいというプロジェクトがあったとします。

「FOME」の「F」というのは「Feasibility(実現可能性)」の「F」です。データはどのぐらいあるのか、アンケートのデータはどういう形で保管されているのか、それは紙なのか、FAXなのか、実際にデータベースになってるのか、Excelなのか。そういうデータのあり方と、データの量、データの質、それからデータの更新頻度(例えば、5年前にやったアンケートしかないのか、年1回アンケートを実施してるのか、週1回アンケート実施してるのか)とデータの精度と価値など、様々な所を見ながら、どういうAIモデルが作れるのかを技術的に検証して、どれくらい複雑なものが必要とされているのかを明らかにしていくことです。

それに加え、先ほどユーザー志向という話がありましたが、どんなアプリケーションに落とし込み、どう現場に届けるのかというアウトプットの方法もすごく大事になってきます。例えば、複雑なダッシュボードを作る必要があるのか、既存の基幹システムに統合する形でバックエンドにAIモデルを入れるだけでいいのか、という点を見ても、実現可能性または技術的な課題が変わってきます。そういうところを見るのが「F」ですね。

「O」は「Opportunity(応用性)」の「O」で、ビジネスにおける応用性、汎用性という意味です。例えば、消費者のアンケートを解析して商品開発に活かすときに、その示唆が商品開発部だけではなくて、例えば営業部、在庫管理、物流など他の部署にどう役立つかという横転換の可能性を考えることです。そのデータを一元管理することでどんな人たちの役に立つか、または外販できるような商品価値があるのか。あるとしたら市場規模はどれくらいなのかという、ビジネスの可能性、幅の広さを考えるのが「O」ですね。

「M」は「Measurability(測定可能性)」です。アンケートのデータを解析して商品開発の示唆を得るというプロジェクトを実施したときに、本当に正しかったのか、役に立ったのかという点をABテストなどで検証するのが「M」です。

最後に「E」が「Ethics(倫理性)」です。データを活用してモデルを作ることは倫理的にどういう意味があるのか。例えば人事系のAIプロジェクトをするとなると、やはり倫理性はすごく大事になってきます。この間も、内定辞退率を予測するAIが日本で社会的な問題になりましたが、倫理性に関しては開発前に議論しておかなければいけない問題だと思います。あとは、労働に関して、管理者に対する課題を解決するようなAIでも、「E」の側面はすごく大事になってきます。

田中:そうですね。やはり社会実装はどんどん広がっていますから、最後の「Ethics」はすごく重要ですね。

石角:はい。本当にそう思います。

田中:石角さんの『いまこそ知りたいDX戦略』という本は、非常に本質的かつ実務的です。特に今、教えていただいた箇所は174ページのマッピングチャートで、マトリックスになって掲載されていますので、是非ご覧になっている方も、マッピングチャートも含めて読んでほしいですね。

とりあえずのDX推進はNG。コアの再定義や課題抽出を元に長期的なDX戦略を

田中:先ほどPoCというキーワードが出たので、先に第二の壁についてお伺いしましたが、DX推進の第一の壁として本に記載されているFOMOについてご説明いただけますか?

石角:はい。英語で FOMOとは「Fear of Missing out」の頭文字をとっていて、取り残されたらどうしようという恐怖心を表す言葉です。決して良い文脈では使われておらず、みんなから取り残されたらどうしようという恐怖心で行きたくもないパーティーに行く、見たくもないソーシャルネットワークを見る、というような心理状態を表しています。まさしくDXに関してもFOMOに陥っている経営者が多いのではないかと思います。

今は連日連夜、日本のメディアでDXと騒がれない日はありませんので、最初のコアの再定義や本当の課題抽出をする前に、とりあえずDX推進室を作るということが良くあります。そうすると、やることがわからないため、社内のヒアリングに終始する、情報システム部のお手伝いをするだけという風になってしまいます。やはり、慌ててやるのではなく、まずは目的意識をもう一回見直すというのがすごく大事だと思います。

田中:置いていかれることへの恐怖心ということですが、皮肉なことに日本の大企業は置いていかれることの恐怖心がないと動かないこともあり、非常に難しいところですよね。

石角:そうですね。そこは本当にそう思います。また日本企業のもう一つ課題としてあるのは前例主義ですね。周りの事例と前例が出尽くしてから、じゃあ自分達もとやっとゴーサインが出ることも多いです。この間も日本の大企業の方と話していて、とにかくリスクを取りたがらないような文化が根付いていると感じました。

また、社長がすぐに入れ替わってしまうケースも多く、短期間で成果が出るプロジェクトばかりを選びがちですね。例えばAWSは、20年かけて今のAWSの形を作っています。そういう長期のビジョンを持つ経営者が、どれくらい会社の中にいるのかどうか、そういうビジョンを持つことが個人のインセンティブになるかどうか。そういう土壌もすごく大事になってきます。二言目には「前例ある?事例ある?」と聞いてくる会社が多いことも、AI導入が進まない理由の一つだと思いますね。

田中:そうですね。今AWSが20年かけて今の姿になっているという話がありました。日本ではすごく誤解がありますが、Amazonはベゾスが超長期志向で物事を考えていますし、それを許容してくださいと言い続けてきて、その上で投資もされ成長してきています。大胆なビジョンを持ち、信念を持って有言実行しているのは、本当に簡単なことではないと思います。そこへの思いやこだわり、信念、投資家に対して理解を求める姿勢なども含めて一貫してますよね。

石角:一貫していますね。ベゾス宣言と呼ばれるAPIに関する宣言も出したのが2003年頃です。いずれもAWSを作る前に出して、それをずっと実現してきています。やはりブレないことはすごく大事ですよね。

田中:はい、そう思いますね。

すべてを内製化する必要はない。Modernaに学ぶ、DXへのアプローチ

田中:『いまこそ知りたいDX戦略』の第2章で、「その課題はAIで解決できるのか」というくだりがありますが、その問いかけの意味と答えを簡単にご説明いただけますか?

石角:AIとかディープラーニングという、「How」にこだわってしまう人が多いのですが、実際は例えば複雑なAI技術を使わなくても、または内製化して作らなくても、パッケージソリューションで簡単に解決できるような課題もあると思います。ですから、例えば自分のコア事業に対して約8割は内製化する。インハウスでモデルを作る、インハウスでデータ収集パイプラインを作ってインハウスのデータサイエンティストで作ってみる。一方で周辺事業に関しては、約8割はアウトソースもしくはパッケージ型のSaaSを使う、というやり方もあると思います。

例えば今回新型コロナウイルスのワクチンを開発したModernaは、自身をバイオテクノロジーの会社ではなく、バイオロジーに携わるIT企業と定義づけていて、データの管理や薬の開発自体は全部AWSで開発しています。コア事業に対しては、8割は内製化し、全部自分たちの開発した施設や工場で作っていてます。デジタルツールや基盤を内製化して、自分たちでモデルを作って行っている。

一方で、例えば人事など自分たちにとってコアではないところは、例えばワークデイというSaaSを使ったりしています。そうなると、「どこまで内製化するべきなのか?」という質問がすごく大事になってきます。パッケージ型のものを例えば毎月の使用料やライセンシング料を払うことで解決できる問題もあるので、なんでもかんでも自分たちでやればいいというわけではありません、やはりコア事業と周辺事業を見極めるのはすごく大事なところですね。

田中:そうですね。ちょうど石角さんのこの本にもModernaの話が出ています。データのすべてをクラウド化、データの統合、それからオートメーションなどでDXを進めています。製薬業界でここまでDX化をコアで進めているところはなかなかないですよね。Modernaが先進的な取り組みをしてる秘訣は、どこにあるとお考えですか?

石角:秘訣はやはりCEOのステファン・バンセルですね。ModernaのCEOに就任する前は別の製薬会社のCEOだったのですが、そこでデータの大事さを肌で感じていたそうなんです。ModernaのCEOになったときに、DAY 1からModernaをデジタルネイティブカンパニーにするというビジョンがあり、そのビジョンに基づいて全部の組織を変えていったのが要因のひとつです。

あと、Modernaのケースで私がすごく面白いと感じているのは、ビジネスプロセスエンジニアリングを徹底していることです。アナログなプロセスの時点で非効率だったものをデジタル化しても、効率的なデジタライゼーションは作れません。だからこそ、デジタライゼーションの前にデジタイゼーションが必要ですが、実はそのデジタイゼーションの前にアナログオペレーションの見直し、ビジネスプロセスエンジニアリングが必要です。アナログなプロセスも無駄がないものにした上でデジタイゼーションをし、そこでデジタイゼーションしたデータをデジタライゼーションする。製薬会社でここまでDXに投資している企業は他にないと思いますので、そこがすごいですね。

自分たちのコア事業である薬の開発は内製化して持っていた。逆に言うとサプライチェーンや地政学的なリスクがほぼない中で、ボストンの郊外に工場を持ち、全部自分たちで動かせるオペレーションを持っていたことが、今回コロナのワクチンを一気に開発する体制に変えられた理由のひとつです。チャンスが訪れたときにそれをつかむ準備ができていた企業としてはWalmartとともに、Modernaもそのひとつだと思いますね。

田中:まさにチャンスの女神には前髪しかない。準備を先にしておくということでしょうね。

石角:本当にそう思いますね。CEOのステファンは、ハーバードビジネススクールの先輩で、卒業生向けにウェビナーをしてくれたことがあります。Modernaの社長室からZoomで話してくれて、その言葉は本当に感動的で、人類を救ってくれてありがとうと思いました。

田中:本の中にも、DXへのアプローチがGAFAと同じで驚いたという記載がありましたね。

石角:はい、本当にそうなんです。

日本企業の弱点は、AI技術者とAIビジネスデザイナーの絶対的な不足

田中:いよいよ最後となる、DX推進の三つ目の壁が「リソースが足りない」でした。著書の中では「イントレプレナーの壁」とも名づけられています。人については、石角さんの直近のもう一つの著書『“経験ゼロ”から始めるAI時代の新キャリアデザイン』にも書かれていますが、人、リソースについての最大の問題は何でしょうか?

石角:やはりAI人材が圧倒的に足りないという課題は避けて通れないですね。でも、AI人材といったときに、データサイエンティストやソフトウェアエンジニア、インフラエンジニアという技術者だけではなく、プロジェクトを推進するAIビジネスデザイナーの存在、企業によっては、AIプランナーやAIプロジェクトマネージャーなど別の名前で呼んでいるケースもありますが、そういう人材も足りていません。

データサイエンティストに関しては、社内で再教育して育成し、成功している企業は日本でもけっこうあります。例えば、この間読んだ記事の中で、JRではAI/データサイエンスのコンペに社員も参加して優秀なデータサイエンティストを発見したという事例がありました。素晴らしいなと思いますが、そういう会社ばかりではないと思います。特にデータサイエンティストに対しては、まず大前提として母集団が足りません。あとは海外のデータサイエンティストを雇ったときにどう働いてもらえばいいかわからないという問題もありますね。やはり、データサイエンティストをどうマネージすれば会社にとって一番リターンが大きいかを知っている人が、おそらくあまりいないのだと思います。

例えばパロアルトインサイトでもデータサイエンティストやソフトウェアエンジニアはいますが、ソフトウェアエンジニアとデータサイエンティストでは評価の仕方が全然違うのです。

ソフトウェアエンジニアは、成果物が明確にありますが、データサイエンティストの場合、必ずしも毎日なにかを生み出せる仕事ではありません。評価の仕方ひとつとっても、「どのように評価するのか?」という点が変わってきます。特に、このリモート環境の中で彼らをどう評価するのか、評価ができる中間管理職、マネージャーの層が欠けていることも、もうひとつの問題だと思います。

さらに、データサイエンティストが例えば10人ほどいる会社でも、その人たちを束ねてどう事業化するか、どこにビジネスの機会があるか、ステークホルダーにどう話をするかという、AIビジネスデザイナーのような役割の人が圧倒的に足りていないと思いますね。

「未経験・妊娠中でもIT業界にチャレンジしたい」リスクを取った就職活動が最大のキャリアシフト

田中:なるほど。石角さんが最近発売されたもうひとつの本のタイトルが『“経験ゼロ”から始めるAI時代の新キャリアデザイン』ですが、私がすごく興味があるのは石角さんご自身のキャリアデザインです。私の方から少しご紹介させていただくと、石角さんはハーバードビジネススクールでMBAを取得され、まずGoogleの本社でご勤務されています。その後、AIベンチャー勤務を経て、今の会社をシリコンバレーで起業されています。

石角さん自身は、キャリアデザインをいつ頃、どう描いていらっしゃったのか、最初の頃に描いたキャリアデザインをそのまま歩まれているのか、それともキャリアシフトをされてきているのか。まずは石角さんご自身のキャリアデザインについてお教えいただけますか?

石角:私のキャリアシフトであり大きな転換点は、やはりハーバードビジネススクールに行ったことです。ビジネススクールに行った最初の夏に、戦略コンサルティングファームでインターンをして、デジタル案件に携わらせてもらいました。日本のメディア企業のデジタル化のお手伝いをして、実際にデジタルチームやITチームとやり取りをし、価格設定の戦略的なアドバイスをしたのです。そのプロジェクトを通してITビジネスはすごく面白いなと思い、ビジネススクールの 2年目にはIT戦略の授業だけを重点的に取りました。

そして、その後のキャリアについてIT戦略の教授に相談したことがあったのです。「IT業界の経験は全然ないしアメリカ人でもないが、あなたの授業を取ってITに興味を持っていて、シリコンバレーのIT業界にチャレンジしたい思いがある。しかし戦略コンサルティングファームからは既にオファーをもらっている。このまま安全でリスクがない道でコンサルをやるべきなのかどうなのか」と。当時は戦略コンサルティングファームのオファーに対し、2か月後には返事をしなければいけない時期で、かつそのとき私は、第一子を妊娠中だったのです。

田中:そうなんですか。

石角:はい。娘を妊娠中の状態で私はどうすればいいのかと聞いたら、「何をバカなこと言ってるんだ」と教授が言ってくれて。「そもそもMBAを取る理由は、何だって自分のやりたいことにチャレンジできる権利を手に入れることだ。MBAはある意味、レジュメをリセットするので、例えば過去にIT業界の経験がなくても、 MBAを挟むと今までやったことのない業界にチャレンジできるんだ。それがMBAなんだ」と言ってくれたのです。それで私もハッと気が付いて、本当にそうだなと。今やりたいことをやらなかったら、いつやるんだと。そのためにMBAを取ったというのは本当に間違っていないですし。そこで、卒業と同時に娘を産み、生後3ヶ月の娘を連れて、何のコネもないままシリコンバレーに行き、ゼロから就職活動を始めたんです。

当時の私は、もうシリコンバレーのIT企業であれば、どういう職種でもオファーがもらえれば構わないと思っていました。営業でもマーケティングでも、とにかくビジネスサイドの事業開発の仕事を探していました。それが本でも書いたキャリアのトリレンマという考え方です。地域と業界と職種、三つ全部で自分の望みを叶えることは難しいので、その中の二つを優先するという考え方です。どれか一つは優先順位を下げて、どれか二つが叶えられればそれでいいというのがHBSの先生に教えてもらった考え方でした。私の場合、シリコンバレーとIT業界というところにフォーカスして就職活動をしました。結果一番行きたかったGoogleでオファーがもらえたのですが、あのときシリコンバレーに行ってなかったら今の自分はいないので、本当に良かったと思います。

田中:妊娠中、産後すぐの大変な中で就職活動をされたんですね。今だったらオンラインでの面接もできるかもしれませんが、当時はボストンからシリコンバレーを移動し、大変な状況の中で面接をされていたわけですね。

石角:そうですね。普通だったら、子どもが生まれるからこそリスクを取らないで、オファーがあるならコンサルファームに行くべきだ、という人もいるかもしれません。そのビジネススクールの教授が背中を押してくれて、私にとって大事なことが何なのかを気づかせてくれたことに、本当に感謝しています。

Googleで学んだのは「徹底したムダの排除」と「飽くなきムーンショットへの挑戦」

田中:なるほど。今振り返ってみるとGoogleの本社勤務の最大のアセットというのは、石角さんにとって何ですか?

石角:プロダクト開発の現場を学べたことですね。Googleに行く前は、IT業界の経験がなかったため、ソフトウェア開発やAI開発の現場を知りませんでした。でもGoogleで機械学習のオペレーションチームに配属になったことで、AIモデルを作るエンジニアと連携してものを作るということを毎日やっていたのですね。そこで肌感覚、現場レベルでプロダクト開発を学べたことが、すごく大きな資産になっています。

あとは、Googleでムダを嫌う仕事の仕方を徹底的に叩き込まれたことですね。戦略コンサルでインターンをしていたときは、大量の紙をプリントして、それらを全て専用シュレッダーにかけて処理していました。でも、Googleは、2010年当時からプリンターがありませんでした。自分のパソコンとクラウド、Google Docsだけでどこからでも仕事できるという環境が、私にとってはすごく新鮮でしたね。働き方、仕事の仕方、どう成果や結果を出すかという、当たり前のことを学べたのもすごく大きかったです。

田中:なるほど。Googleというとムーンショットも有名ですが、ムーンショットにもチャレンジされていたのですか?

石角:当時、私はコマースチームにいて、コマースはAmazonがやはり強い領域なので、逆に追いつけ追い越せというアントレプレナー、起業家精神が強いチームでした。なので、どんどん新しいプロジェクトが立ち上がっていました。私はオペレーションの担当者として入り、新製品のサポートやFAQをどうするか、問い合わせをどうするか、などを全部考えて実装するということをやっていました。実験という名のエクスペリメンテーションチームにも入り、なんでもかんでもやっていましたね。

ムーンショットというと、Google XがGoogle Glassなどを作っている時代でした。Google Glassをローンチしたのは確か私が辞めた後でしたが、Google Xはすごくベールに包まれた組織でしたね。

田中:よりGoogleが、ムーンショットらしいことにチャレンジしていたタイミングだったのかもしれませんね。

石角:そうですね。一番働きたい会社としてGoogleが選ばれていた時代ですし、本当に楽しかったです。規制強化やプライバシーの問題については、当時からありましたが、ここまで大きくはなってはいなかった時期でした。

田中:そういう意味では、その後いろいろチャレンジングなプロジェクトをやり、会社も売却するなどして、現在GoogleはGAFAの中では少し、時価総額が伸び悩んでいます。ご存知の通りAppleやMicrosoftは、今や時価総額が2兆ドルに達している中で、ムーンショットへのこだわりが若干薄れたのか、そんなことはないのか。そのあたりは今、外から見てどういう風にご覧になっていますか? 

石角:そうですね。外から見ていると、例えばスマートシティのプロジェクトなどはアイデアとしてはすごく面白かったと思います。

田中:カナダのですね。

石角:そうです。カナダのトロントプロジェクト「Sidewalk Labs」は、街のOSを作るという考え方で、街のあらゆるタッチポイントからデータを集め、効率化したまちづくりを設計するというものでした。結果的にエネルギーの使い方も効率的になります。例えば車線などもリアルタイムにデジタルで変えることができ、混んでいるときは車線を増やし、混んでないときは犬の散歩の人たち用に幅の広い歩道が用意できる。そういう考えはすごく良かったのですが、町の人に対してのコミュニケーションというところに大きな課題があり、頓挫してしまいました。

アイデアとしては、ムーンショット、非中核事業である「アザーベッツ」がすごく面白いことをやっています。自動運転車の「ウェイモ」などは、もう事業化も近いようで期待しています。あとはAIの分野での新しいモデル開発などですね。NeurIPS※のような、国際的なAIの会議でもGoogleやディープマインドからの論文数は一番数が多く、この分野は間違いなくすごいと思います。

※NeurIPS
AI・機械学習の分野における国際会議

バイデン政権の規制強化によりFacebookとGoogleの前途は多難? 進む「広告ゼロ」と「プライバシー保護」へのシフト

田中:時価総額からするとAppleが2兆ドルを越えて、Microsoftがそれに準じています。

石角:Microsoftもすごいですよね。

田中:それに対して数年前と比較すると、やはりFacebookやGoogleは、2兆ドルという規模からするとかなり見劣りをしている水準だと思います。このあたりのプレイヤーの差は、どういうところから来ていると思いますか?

石角:ビジネスモデルの多様性が、その要因のひとつにあると思います。FacebookとGoogleは広告ビジネスで、他に大きな収益源がありません。例えばAppleやMicrosoftはハードウェアだけじゃなくてソフトウェア、またマイクロソフトは特にクラウドビジネスもすごく好調です。Appleなどは、サービスも最近すごくうまくいっていますが、GoogleはクラウドやB2B向けビジネスなど成長しているものの、やはり広告ビジネスに依存しているので、投資家が「次の大きなこと」が見えない部分があるのだと思います。

あとはやはり規制強化です。特にバイデン政権になって、反トラスト法を推進する強硬派をFTC※の委員に任命しています。今後はGoogle、Facebookだけではなくて他の巨大IT企業にも言えることですが、どうなるのか注目ですね。広告ビジネスとプライバシーはすごく繋がっているので、その点においても、FacebookとGoogleは今後対応が求められると言えます。

Googleのサーチエンジンを作っていたエンジニアが辞めて作った、プライバシーを考慮した広告ゼロの検索エンジンが、今すごく注目されています。これは広告ゼロの代わりに有料課金をするというサブスクリプションタイプのビジネスモデルです。Facebookのように、無料だからこそみんなが使い、データは全てFacebookがまとめ、広告主に間接的に「ターゲット広告」という形で売るというこれまでの構造自体が見直されています。アンチ無料という動きが出てきています 。例えば、ブラウザなどGoogle Chromeは無料ですが、そうではない、有料モデルの新しいブラウザも生まれてきていています。

※FTC
米連邦取引委員会


田中:Brave※などですね。

※Brave
Brave Softwareが開発した広告ブロック機能を持つ高速ブラウザ


石角:はい、そうです。ブラウザやEメールなど、今まで無料だったものにはデータを取られていたことにみんなが気づきはじめ、有料でもいい、例えば毎月5ドルぐらいなら払うからプライバシーを守りたいという人も、少数ではありますが、最近私の周りでも増えてきています。今後、FacebookやGoogleなどの、広告収入モデルがどうなるかというのは要注目ですね。とは言っても、Facebookは今、すごく業績は伸びていますね。

田中:そうですね。時価総額的には、かなり格差が出ていますね。Apple、Amazonの2社が突き抜けているというのもありますね。このコロナ禍で、ますますアメリカではプライバシー重視の機運が高まっていますし、そういう意味では価値観として、おそらくGoogle、Facebookの2社への対抗としてもMicrosoftやAppleはプライバシー重視の価値観を宣言しています。

石角:最初からそうでしたよね。

田中:ええ。おそらく価値観として重視しているところと、ビジネスの対抗上重視しているところの両面があると思います。そういう意味では、広告に大きく依存している2社は業績こそ良いですが、将来を見据えた時にそこが厳しいかもしれませんね。

石角: GoogleはAIの分野が期待できると思います。

田中:石角さんに最後にお伺いしたいのは、ご自身のキャリアデザインの話の中で、ハーバードビジネススクールの先生から背中を押していただいたということでしたが、最後に今日、デジタルシフトタイムズをご覧頂いている方々に、特に若い方もご覧になっていると思いますので、AI時代の新キャリアデザインについて、今チャレンジしようと思っている人たちの背中を押してあげるようなメッセージをいただければと思います。

石角:はい。『“経験ゼロ”から始めるAI時代の新キャリアデザイン』の著書の中ではデータサイエンティストやエンジニア、AIビジネスデザイナー以外に、もうひとつの新しい人材のタイプを紹介しています。それが、私の造語ではありますが、AIシナジストです。このタイプの人材の説明として、今いる場所で転職せずに、AIを掛け合わせて相乗効果を生み出せる人間になろうという話をしています。

本の中でも実際の人物のケーススタディを紹介しています。例えば東野さんという方は製造業の人事部で働く、32歳。AIなどの経験はありませんが、今AIシナジストとして、人事部の課題をAIでどう解決するかというプロジェクトの担当をしています。現在はパロアルトインサイトとプロジェクトを行っていますが、今後、彼は会社の中でも注目されることになります。例えば子会社の中で人事部の課題をどうやってAIで解決するか、というようなビジョンを描くということで、必ずしもコードが書けなくても、いわゆる理系のバックグラウンドがなくてもAI人材になることは、今いる場所から簡単にできるんですね。

なので、今自分がいる場所、それが人事なのか、営業なのか、製造なのか、PRなのか、何でもいいと思います。今いる場所でAIを掛け合わせて、どういう課題解決ができるかを考え、是非AIシナジストを目指して、新しいキャリアを築いていっていただければと思います。

田中:はい。AIシナジストですね。そういう意味では、より幅広い方がチャレンジできるキャリアデザインですよね。

今日は長時間にわたり色々教えていただいてありがとうございました。最後に改めて著書をご紹介させていただきたいと思います。今日はデジタルシフトタイムズの対談ですので、『いまこそ知りたいDX戦略』は心底お薦めの一冊なので、是非この対談を見ていただいている方はこれを機会にお読みいただければと思います。長時間にわたり、本当にありがとうございました。

石角:はい。こちらこそありがとうございました。

田中:またよろしくお願いいたします。皆さま、これで失礼いたします。

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アコム新社長 木下政孝氏×立教大学ビジネススクール田中道昭教授対談。デジタルネイティブ企業が金融業に参入し、キャッシュレス化が加速するなか、アコムが描く未来戦略とは

2021年6月23日開催のアコム株式会社の株主総会および総会終了後の取締役会において、木下政孝氏が新社長に就任しました。1993年に業界で初めて自動契約機「むじんくん」を導入し、2016年に「イノベーション企画室」を設立するなど、金融業界でも積極的に新しい取り組みやデジタルシフトを推進してきたアコム。新社長である木下氏は今どんな想いで会社のトップに立つのか。激動のコロナ禍を経た上で見えた、デジタルでは担えない、人の役割とは何なのか。立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

Walmart、Amazon、Peloton。コロナ禍で米メガテック企業に起きた変化から日本企業は何を学ぶべきか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO石角友愛氏、立教大学ビジネススクール田中道昭教授が徹底議論

Walmart、Amazon、Peloton。コロナ禍で米メガテック企業に起きた変化から日本企業は何を学ぶべきか。シリコンバレーで活躍するパロアルトインサイトCEO石角友愛氏、立教大学ビジネススクール田中道昭教授が徹底議論

緊急事態宣言の度重なる延長、オリンピック開催是非の議論と、依然混沌とした状況が続く日本とは裏腹に、シリコンバレーではワクチンの複数回摂取が進み、市民がマスクなしで屋外を出歩く風景が見られ始めているそうです。コロナ禍と呼ばれる約1年半の間、アメリカのメガテック企業、ベンチャー企業はどのような進化を遂げたのか。DXを迫られる日本企業は何を学ぶべきなのか。『いまこそ知りたいDX戦略』、『“経験ゼロ”から始める AI時代の新キャリアデザイン』の著者であり、パロアルトインサイトCEO、AIビジネスデザイナーの石角友愛さんをゲストに迎え、立教大学ビジネススクール田中道昭教授がお話を伺います。

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

Googleやビル・ゲイツも出資する“代替肉”スタートアップ「インポッシブル・フーズ」〜海外ユニコーンウォッチ#2〜

「ユニコーン企業」ーー企業価値の評価額が10億ドル以上で設立10年以内の非上場企業を、伝説の一角獣になぞらえてそう呼ぶ。該当する企業は、ユニコーンほどに珍しいという意味だ。かつてのfacebookやTwitter、現在ではUberがその代表と言われている。この連載では、そんな海外のユニコーン企業の動向をお届けする。今回は欧米を中心に注目されている「代替肉」を扱う「インポッシブル・フーズ」を紹介する。